1965年1月、思潮社から刊行された茨木のり子(1926~2006)の第3詩集。装幀は和田誠。
第二の詩集を出してから五年たち、不惑の年にだんだん近づいてきたが、惑いはかえって深くなり、自分の魂をもよく鎮め得ない。
鎮魂歌という題は、ひとを悼む詩が多かったためである。
ずいぶん妙な詩もまじっていて、統一を欠くが、日頃、一筋縄で括られるような詩の書きかたはしたくない、かのシェクスピアのような多面性、百の魂を持ちたいという大それた願いが、この詩集を作る場合にも反映したらしい。
古い詩を読み返してみて、もう少しどうにかならなかったものか……と痛切に思うが、このどうにもならず残ってしまったものが、つまりは自分自身の消しようもない足跡なのだろう。
『りゅうりぇんれんの物語』は朗読のための詩として書き、ユリイカに発表した。薄い雑誌の大半を占めてしまい、伊達さんが「特別ですよ」と秘蔵の中国の剪紙をカットに使って下さったこともありがたく思い出される。名前は失念したが、或る小さな劇団が、卒業公演の朗読に読んでくれた。後に、川崎洋氏との合作で、このテーマを書き改め、「交されざりし対話」として、ニッポン放送の「ラジオ劇場」から放送した。出演は宇野重吉氏、山本安英さん。
最後に詩集を出すことを進めて下さった小田久郎氏、いろいろとお力を借して下さった川西健介氏、こころよく装幀を引き受けて下さった和田誠氏に心から御礼を申上げます。
(「あとがき」より)
目次
1 花の名
- 女の子のマーチ
- 汲む
- 海を近くに
- 私のカメラ
- 鯛
- 秋が見せる遠い村
- 最上川岸
- 大男のための子守唄
- あるとしの六月に
- 本の街にて
- 七夕
- うしろめたい拍手
2 りゅうりぇんれんの物語
あとがき
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