1984年6月、刻詩社から刊行された柳原真砂夫(1926~)の第4詩集。著者は秋田市生まれ。
『金銭考」の諸作品は殆んど詩誌「密造者」に発表したものである。最初の六篇は第十六号に、十七号に一篇、十八号に私の特集として七篇、二二号に一篇、「詩学」に一篇、あとの一篇は「刻」に。発表した作品には題がなく、ナンバーを付けて発表した。しかし、今回は詩集として発刊するために、作品一つ一つに小題を付し、詩集『金銭考』に一貫した連係と思考を与えるように工夫した。
いままで公務員として勤務をしていて、長く金銭関係の仕事をして来たが、私は特別に金銭に対して執着があるわけではない。ごく一般的に日常の庶民のなかの「金銭」に対する考え方を持っているに過ぎない。小銭の眼を通して、現代社会の一つの矛盾を切り取ろうと作品に取り組んだわけであるが、なにせそう簡単には行かなかった。
(「覚えがき」より)
目次
- 汗とパン
- 月給袋
- 金銭攪乱機
- 数字は睡る
- ワンマンカー
- 五円玉と柱と釘
- 壱円玉
- 掏摸(すり)
- 流転
- 小切手の
- 黄金
- 空を翔ぶ紙幣(さつ)
- 世界への旅
- 輝くダイヤ
- 大判小判
- ポケットの中の銭たち
- 金銭考
跋 畠山義郎
覚えがき 柳原真砂夫