女流詩人集 '70

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 1970年7月、彌生書房から刊行された女性詩アンソロジー

 このたび一九七〇年の女流詩人集を発刊することになりました。御参加いただいた方、もれた方にも、優れた方々があると存じます。
 それぞれ個々に良き詩集を発刊していられるのに、女流詩人の活躍はやや消極的なので、この企画をいたしました。
 女流詩人集は、過去に日本女詩人会から戦前に四冊、戦後に二冊上梓されました。また、フランスでも同様な選集が発刊されているようです。今回、はからずも彌生書房の津曲篤子氏の御協力を得て発刊の運びになりましたが、今後は毎年継続していきたいと存じます。
 今年は最初でもあり、すべてゆきとどかぬことと存じますが、これからいっそう充実をめざして、女性詩壇を活発にさせたいとおこがましくも願っております。
(「あとがき/編集委員一同」より) 

 


目次

  • 会田千衣子
  •  壊れた庭
  • 青田光子
  •  人間が
  •  月を忘れたころ
  • 阿部富美子
  •  ノース・ポー
  •  ミロのヴィーナス
  • 市川満智子
  •  八月十五日
  •  失われた言葉
  •  名月
  • 井上淑子
  •  そよかぜ
  •  黒い火華
  •  枯葉
  • 上田静栄
  •  宇宙中継
  •  新年
  • 上野菊江
  •  単に外のしかし内にありかつ外にあるところの
  • 内山登美子
  •  無言歌
  •  春の喪
  •  声はのどに
  • 大野良子
  •  河三題
  • 小山田弘子
  •  遠州灘
  • 香川紘子...
  •  女たち
  • 笠原三津子
  •  滝
  •  円形劇場
  •  神話
  • 梶原しげよ
  •  花のうた
  • 片瀬博子
  •  黒い考古学者の幻想
  • 片田芳子
  •  晩夏
  • 金井光子
  •  ラッシュと鳩
  •  大雪
  •  海の秋
  • 金沢星子
  •  薔薇
  •  弔詞のように
  •  鈴蘭
  • 河津幸子
  •  無題
  •  市場から
  •  とりどり
  • 北川多紀
  •  魔境
  •  執念の声
  • 木村信子
  •  ひぐれ
  • 九谷元子
  •  鎮魂歌
  •  扉
  • 慶光院芙沙子
  •  魔王に捧ぐ物語
  • 小林富子
  •  夜の窓
  • 小松郁子
  •  ぐりんぷす
  • 小柳玲子
  •  水の声
  • 小山銀子
  •  白薔薇に寄せる幻想
  •  星のメルヘン
  •  空いた椅子
  • 坂本明子
  •  四行詩十篇
  • 沢野起美子
  •  嵐のあと
  •  ゴッホの緋桃の木
  •  二人の食卓
  • 清水ゑみ子
  •  樹について
  •  鏡
  •  短い階段
  •  樹のうた
  •  動いている帯
  •  像
  • 新川和江
  •  日常の神
  •  わたしは傷を
  • 高田敏子
  •  動かない姿
  • 竹内てるよ
  •  海のオールゴール
  • 武田隆子
  •  夜行列車
  • 武村志保
  •  思索
  •  銃声
  • 壺田花子
  •  夢
  •  春の雪
  • 手塚久子
  •  私の愛は
  • 永瀬清子
  •  私は地球
  • 中村千尾
  •  鎮魂歌
  •  水仙
  •  日付のない日記
  • 中村信子
  •  愛のはじまり
  • 葉樹えう子
  •  不信の旅
  • 英美子
  •  祭
  •  默禱
  • 日高てる
  •  女が足を洗うとき
  •  見つめられるとき
  • 福中都生子
  •  ジャクリーンの涙
  • 武鹿悦子
  •  さびしい夜明け
  •  早春
  • 堀内幸枝
  •  数奇な運命の人
  •  晩夏の薔薇
  • 堀場清子
  •  「じじい百態」より
  • 牧野芳子
  •  シャロンの花嫁
  •  Assumption
  •  ゲシュタボにかわって今は
  • 町田志津子
  •  死者の宴
  • 水野るり子
  •  ワニの場所
  •  象
  • 三井ふたばこ
  •  あとには何もない
  •  飛翔
  •  花びら
  • 三井葉子
  •  川
  •  倉
  •  糸取り
  •  かえで
  • 宮本むつみ
  •  樹
  •  椅子とりあそび
  • 村松英子
  •  花
  •  私と魔女
  • 森未知子
  •  素描
  •  滝
  • 柳沢和子(訳詩)
  •  対話(ジュール・シュペルヴィエル)
  •  血(アンドレ・ブルトン)
  • 山口ひとよ
  •  薔薇断章
  • 山下千江
  •  運河
  •  二月の唱
  •  それらは

あとがき

 

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発光性 diapositive 関口涼子詩集

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 2000年1月、書肆山田から刊行された関口涼子(1970~)の第3詩集。装幀は青山杳。

 

作品になりかけた言葉が一つの形を持つことができず終わるとき、そこにはどんな理由があるのだろうか。作品の中に住まおうとしない言葉の断片、読点をきっかけに逃げてしまうような数行の文章のかけらばかりに囲まれて暮らしていた頃、書こうとしていたテクストの構造自体が内包する問題もさながら、形になることを拒否し、テクストがあるところまでくると、自らを致命的に終わらせようと果敢に試みる文章の訪れにはきっと何かの意味があるのに違いないと薄々感じていた。一方的な描写と固定した関係、nomination、ノスタルジー、積み重なるばかりの記憶などに疑問符を付ける行為を、Sで始まるテクストとは言い難い、しっかりとした目的地を持たず小石のように置かれた文章と、はしゃぎながら構造を複合化しかつ壊してゆく図形、自分たちに関係のありそうなあまりにもあやうい場所を見かけたときだけそれらの断片は集まってくれて、でもそのたびに作品を終わらせかねず実際に終わらせ、名付けられることをついに拒み、作品の中に落ちつくことも嫌がって、この辺に今もうろうろしている。理由を高らかに開示するのではなく、駆けぬけてゆくそれらの断片が紙の上にちらりと姿を見せることもある、そのことだけを示したかった。これらの作品たちは一九九二年から九六年、「詩」を書かなかった時期の言葉たちや、今はもう存在しない、沢山の作品の痕跡をかすかに窺わせる断片たちのかたわらで、書き継がれては消されることを繰り返し、新しく現れた言葉たちとの交流やそっけないすれ違いなどを経て、九七年から始まり、九九年四月七日から一八日の間にまとめられた。
(「あとがき」より) 

 
目次

  • (単線の…
  • 片目の人にボールペンのキャップはかぶせられない
  • 歯科医の変革期
  •  1 後から見る
  •  2 発言と水
  • 螺旋に賭けろ
  • (今、そこで…
  • 言葉が人間より先に死なないなんて誰にも言えない
  • アーティキュレイション、通過点としての
  •  1
  •  2
  • (想像される…
  • 魚眼ランドスケープ
  •  1
  •  2
  • 盛夏の文法(二人でお茶を)
  • (乱反射と…
  • 「牛からできたもの。」
  • 円形への意志
  •  1 interior
  •  2 ここを通る
  •  3 exterior
  • 盲人のためのボタン(常にかすかな凹凸のある)
  • récipient の中身を、どうしたら水銀からただの水に戻すことができるか
  •  a 庭園修行、ほかいろいろ
  •  b 何故このようないきさつに
  • (どの文字で…

あとがき


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火喰鳥 原桐子詩集

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 1977年8月、詩学社から刊行された原桐子(1924~)の第2詩集。装画は山崎猛。第2回現代詩女流賞候補作品。刊行時の著者の住所は茨城県常陸太田市

 

 真夏のうだるような日、太陽の黒点と火葬にされた母の真っ黒に焼けのこった腰の部分が、かさなって見え、私は<子宮に始って子宮に終った>女の一生を脳裡に深く刻みつけられました。シーツの濡れた凹みが私の掌にあり褥瘡を怖れて横にするとされたまんま、意思をもぎとられた身体。吸いのみからの汁の流れが止まる・動く・止まる・こんな母を置いて出勤する私の背に母の目が貼りついていました。わたしが着いたとき、わたしがあなたを抱きとったとき、待っていたかのようにあなたは頭を垂れました。
 「火喰い鳥」「マグダラのマリア」「恩寵」「虫喰いだらけの風景」から成るこの詩集は女の背負っている罪や業のようなものが珠数になって、ひとつ・ひとつの子宮でつながっております。私の看病の力尽きた時、母はそれを察知したかのように風景の彼方へと飛び去りました。昭和五十一年七月二十八日(水)午後零時三十分、往年七十一歳。
 亡き母の一周忌を控えて、私は第二詩集を出すべきかどうか迷っていました。できれば同じ子宮をもつものとしての詩を捧げたいと思っていたからです。はからずも、星野徹先生の熱心なおすすめとご助言をいただき第二詩集「火喰い鳥」を出版する運びになりましたことを心から感謝いたします。また、病いをおして特にこの詩集のための跋文をお寄せ下さいました石原吉郎先生、詩集出版のためお骨折をいただいた嵯峨信之先生、ほんとうにありがとうございました。
(「あとがき」より) 

 
目次


火喰い鳥

マグダラのマリア

恩寵

虫喰いだらけの風景

跋 石原吉郎
あとがき


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牧野虚太郎詩集

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 1978年10月、国文社から刊行された牧野虚太郎(1920~1941)の詩集。編集は鮎川信夫。刊行時の著作権者は島田隆。装幀は垂水千賀子。

 

目次

  • 象牙の雑草Ⅰ
  • 象牙の雑草Ⅱ
  • 破れた靴下
  • フルーツ・ポンチ
  • 葉脈と時間
  • 独楽
  • 鞭のうた
  • 復讐
  • 神の歌
  • 聖餐

虚太郎考 鮎川信夫


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水たまり 細田傳造詩集

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 2015年1月、書肆山田から刊行された細田傳造(1943~)の第3詩集。装画は川瀬裕之、装幀は亜令。第22回丸山薫賞受賞作品。第33回現代詩花椿賞候補作品、第17回小野十三郎賞候補作品。著者は東京生まれ、刊行時の住所はさいたま市大宮区

 

目次

  • 散歩
  • エリザベート
  • イワンの馬鹿
  • 水たまり
  • 八月の雨
  • 白い服
  • ウラー!
  • 遠い部屋
  • オージー・ナイト
  • 夏来にけらし
  • 夜の軍隊
  • 梨の芯のこと
  • 越猿
  • 此処ヨリひだり岩槻みち
  • 平成二十六年二月の雪
  • メランコリア
  • チラランダ
  • 病身踊り
  • ソウル八月の午後の犬
  • 海岸
  • 鏡子の家
  • オニユリの咲く
  • よーよーよー
  • したい
  • 鳥獣
  • タニナカにて
  • わたしの五月へ
  • はとぽっぽ
  • ひるね・東京・うさぎ
  • しもーぬは今夜
  • 2倍2倍あなたの絮(わた)
  • わが早春賦


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硝子の風 吉村英夫詩集

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 1985年九月、京都ピィアールセンターから刊行された吉村英夫の第5詩集。刊行時の著者の住所は京都市北区

 

目次

  • 落霞
  • 稲妻
  • 計報
  • 不透明
  • 信天翁
  • 老梅記
  • 擾乱の午後
  • 快刀乱麻
  • 傀儡
  • 夜曲
  • 黙示録
  • 落葉
  • 化身
  • 狩人
  • 単身赴任
  • 晩年茫々
  • 葬式
  • 硝子の風
  • 植物人間
  • 遅々日々
  • 樹懶
  • 鬼羊歯
  • 冬の影
  • 刺青
  • 青い実
  • かたつむり
  • カルスト台地
  • 行方不明


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夏のかんむり 片山令子詩集

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 1988年10月、村松書館から刊行された片山令子(1949~2018)の第2詩集。装幀は片山健

 

目次

  • 包まれてあるもの
  • ヒマワリとスカシユリのあいだに
  • 丘陵地帯
  • 今日はどこへも行かない
  • くるみの木
  • 暗闇に香る杉の実のために
  • 石の絵本
  • 雨雲
  • 訪れ
  • 黄色い花
  • 河をみるひと
  • 木にさがる飾り
  • わたしを生んだ土地には今も
  • 石はそっと眼をひらき
  • 汗と星
  • つめたい水
  • ぐみ
  • 過ぎてゆく手とそのささやき
  • 十五分の間に駅で
  • アスピリン
  • ヒメジョオンの花の中で
  • イヤリング
  • 霧とオルガン
  • ミルキイウェイ
  • 降りてゆく大地
  • 夏のかんむり

作品リスト
あとがき

 

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