分別の盛り場 奥村真詩集

f:id:bookface:20220318165435j:plain

 1996年11月、白地社から刊行された奥村真(1949~2009)の第4詩集。装幀は間奈美子、写真は安田有。刊行時の住所は杉並区阿佐谷北。

 

 「詩は人間に一対一で話しかけ、仲介者ぬきで人間との直接の関係を結ぶ」
 「亡命は、普通なら一生かけて辿り着くようなところに、一晩のうちに連れていってくれる」
  (ヨシフ・ブロッキー『一九八七年ノーベル賞授賞講演』沼野充義訳)

 インターネットは仲介者を飛び越える(ことを可能にする)。インターネットは中間管理職を飛び越える(ことを可能にする)。インターネットは仲買人を飛び越える(ことを可能とする)。インターネットは手続きを、解説を、段取りと根回しを飛び越える(ことを可能とする)と言われている。
 インターネットによってはじめて可能になったと言われていることを、詩はそして亡命は遥か以前から実現していた。その意味で詩はそして亡命は一種の奇跡であり飛躍だ。
 インターネットで遊ぶことがコンピュータに関する知識とはまったく無関係なように、詩もまた詩をもて遊ぶ知識とはまったく無関係だ。
 詩はインフラだ。詩は電気、ガス、水道以前から生活必需品だった。詩は一方的な断言であり、一方的な主張の交差する互連網絡だ。民主的な詩などない。詩は言いっぱなしであり書きっぱなしであり、まったく反省がない。詩には正しさも誤りもない。アクセスするかしないか、身を乗り出すか顔を背けるかのどちらかだ。詩は秩序を軽んじ、礼儀知らずだ。なぜなら詩には資格取得がなく、考課者訓練もなく、昇級試験もなく、総じて人事査定がないからだ。では詩は自己申告制なのだろうか? といえばそうでもない。あえていえば相対評価ではなく、絶対評価だ。
 だから詩は、
 「全人類の幸福の熱烈な擁護者や、大衆の支配者や、歴史的必然の宣伝者たちに嫌われる」と前述ブロッキーは言っている。果たして、インターネットはどうか?
(「後書き」より)

 

目次

・バリアリーフ 

  • バリアリーフ
  • パラダイス
  • 世界樹
  • モンスーン
  • ネオン
  • 蜃気楼
  • だれにだって汚点はある
  • 達成された高み
  • 復活
  • 夢虫 
  • 野良男
  • 暗渠
  • 火を起こし小屋を建てて
  • 家路
  • エイジング
  • ファミリー・ツリー
  • 愛知(フィロソフィア) 
  • 分別の盛り場

・アカーキェヴィチ

  • テーブルマナー
  • 種蒔く人
  • 八月のアカーキー・アカーキェヴィチ
  • わたしの生涯
  • 児童遊園
  • 阿吽の息
  • 東京指南
  • トレード 
  • 肥泥ベッド
  • ヒロヒトデッド
  • 一括売りビルの幼虫
  • 当座の会社法
  • オフィスの跡形
  • 豚の遺言
  • ヌーディストクラブ

・イウォル

  • 湿地の眼(やちまなこ)
  • 高い山(リ・シリ)
  • 夏の集落(サク・コタン)
  • 定住
  • 水(ワッカ)
  • オホーツクの紙屑
  • ゴンザの言語
  • 猟場(イウォル)
  • 神の庭(カムイ・ミムタル)
  • 東方の人(チュプカンクル)

後書き


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索

かまいたち 奥村真詩集

f:id:bookface:20220318163441j:plain

 1988年12月、編集工房向う河原から刊行された奥村真(1949~2009)
の第1詩集。装幀装画は森獏郎。

 

目次

  • 妖しい事情 
  • かまいたち
  • 歯史欠損
  • 地上権
  • 同期会の
  • 小菅の『なか』
  • シティライフ
  • 日替り定食
  • サラバサアレ
  • 股のおこしを
  • 目鼻の付けどころ
  • 『するとなにかね』
  • 新都庁から徒歩七分
  • 側隠の上
  • 口語民法『意思表示』
  • やっとかめ
  • 『ア・ト・デ・ネ・』
  • 松茸ごはん
  • カンポンコール葛根湯
  • 大団円
  • スキー教室
  • 文節交換
  • オリエントの菜種梅雨
  • 手風琴を抱き
  • 身柄請書
  • 労働英雄
  • 健康の証明
  • 新聞紙
  • 『同人』の魂胆
  • 大空虚
  • 麦人
  • 人工海浜
  • 割愛

初出一覧・事実経過・著者略歴・著者住所


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索

俳人原石鼎 鑑賞と生涯 小室善弘

f:id:bookface:20220314120528j:plain

 1973年4月、明治書院から刊行された小室善弘による原石鼎の評伝。

目次

  • 序にかえて 原石鼎の位置
  • 鑑賞編 
  • 伝記編

一 深吉野以前

  •  石鼎のなかの混沌 
  •  浪漫的心情はいかに馴化されたか
  •  俳句との結びつき

二 深吉野時代 明治四十五年春深吉野入山以後、大年二年九月出山まで

  •  処女作の意味
  •  「深吉野篇」開花の要因 
  •  俳句における青春
  •  虚子の俳壇復帰と石鼎の出現 

三 海岸時代 大正二年九月出山以後、大正四年四月上京まで

  •  抵抗がつくる美
  •  沈鬱な心情の表白
  •  俳句近代化における石鼎 

四 都会時代 前期 大正四年四月上京後以後、大正十年五月『鹿火屋』発刊まで

  •  流離から安定へ 
  •  石鼎俳句の変貌と虚子の俳句観
  •  作風転換の意味するもの 

五 都会時代 後期 大正十年五月『鹿火屋』発刊以後、昭和十二年六月『花影』出版まで

  •  対虚子コンプレックス 
  •  『鹿火屋』の出発 
  •  味・つや・ぬくみ

六 晩年 |昭和十二年六月『花影』出版以後、昭和二十六年十二月命終まで

  •  病中詠のなかったこと 
  •  主題の喪失
  •  澄んでいる眼 

付録 

 年譜
 参考文献 
 俳句索引


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索

秋分線 吉野令子詩集

f:id:bookface:20220318162536j:plain

 1995年8月、思潮社から刊行された吉野令子の第2詩集。付録栞は、新井豊美「内部を語る文体の魅力」、鎗田清太郎「逆流する幻想的自己」、倉橋健一「『秋分線 ritornello』考」、辻井喬「輝かしき告知」。

 

目次

  • げぇむ日和
  • 午後の誘い
  • 冷菜
  • 透き徹った時刻にて
  • *に
  • 愚鈍な像の要素
  • 北魚の鱗
  • 紫日記
  • 負傷
  • 生風
  • 空室
  • 異族のこと
  • 静謐なたゆたい
  • 夜の本
  • 〈物質的な>頁
  • (哀しみの空籠)
  • 月の道
  • 秋分線 ritornello
  • 古井さんの本

あとがき

 


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索

蝸牛の家出 綿貫千波詩集

f:id:bookface:20220314115609j:plain

 1998年7月、湯川書房から刊行された綿貫千波の第2詩集。著者は三重県南勢町生まれ、刊行時の住所は寝屋川市

 

目次

Ⅰ部 家族

  • 夕ぐれ
  • 夏雲
  • 家族
  • 鳴き声
  • トルコ石
  • 灯影
  • 夕空
  • 入江
  • Ich Liebe Dich 
  • ペルシア
  • 杣道
  • 美しい毛糸
  • 晴れ間

Ⅱ部 冬の右手

  • 海へ
  • 人形の部屋
  • かけ声
  • きれぎれの夢
  • 階段教室
  • 歩く
  • 午後の二〇分
  • 散歩
  • 梅の季節
  • 私の靴
  • 花模様の置時計
  • 冬の右手
  • 駅へ行く道

綿貫千波さんの詩心 以倉紘平

 


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索

北帰行 外岡秀俊

f:id:bookface:20220318142052j:plain

 1976年12月、河出書房新社から刊行された外岡秀俊(1953~2021)の長編小説。第13回文藝賞受賞作品。装幀は若林奮。限定500部の特装版は1977年2月刊行。


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索

家族の午後 細見和之詩集

f:id:bookface:20220314111355j:plain

 2010年12月、澪標から刊行された細見和之(1962~)の第5詩集。装幀は森本良成。第7回三好達治賞受賞作品。著者は篠山市生まれ。刊行時の職業は大阪府立大学教授。

 

目次

  • 手前の虹 
  • 罪と罰
  • 掃除機
  • 転んだ娘
  • 夜の舟
  • 他者
  • ウンチをする私の娘は真剣である
  • 父と娘のソネット
  • 雨の仕事
  • 聖書とオムレツ
  • 思わず息を呑んだ話
  • 鬼父 
  • 町の暮らし
  • ツバメの雛と私の娘

  • 金魚 
  • 薪 
  • 死んだ田中
  • 冬の日にのしいかを食う
  • 父と子 
  • 武蔵のエビフライ
  • 不運
  • メガネのミルズで調光機能付き度入りサングラスを買う
  • 惑星のトイレ
  • ライオンズクラブロータリークラブ
  • 四十八歳にしてロバのパン屋さんに呼びかける
  • 帰るところ
  • 家族の午後


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索