1968年10月、思潮社から刊行された 山本道子(1936~)の短編小説集。装画・装幀は鈴木悦子、レイアウト・扉構成は桑山弥三郎。
目次
- 乾燥させたカイガラ草を詩人にあげるまでのこと
- 暗闇で耐える遊戯がどれだけ困難であるかをつくづく考えるまでのこと
- 詩人につられてうかうかとタンシチュウを食べてしまうまでのこと
- 長靴のもちぬしにどうしても長靴をひきとってもらえないまでのこと
- 詩人と画家のおかげで腕が突っぱってしまうまでのこと
- かれが柘榴の実を切り刻んでしまうまでのこと
- 失望のあまり暗い気持でおもちゃ屋へ出かけていくまでのこと
- 音の洪水が一秒のちにおし寄せてくるのを予期するまでのこと
- いちばん意志薄弱なのはだれであるかがわかるまでのこと
- 自分の不幸を問題にしてますます不幸になるまでのこと
- 茫然と振り返り部屋の中を見るまでのこと
- 少年が生臭い魚のようにびゅんびゅんもがきながら……までのこと
- かれが焼き場の焼却炉にとびこむかもしれないと思うまでのこと
- 真紅の波に呑みこまれそうな彼女を見るまでのこと
- 詩人が陰にこもって毒突いてくるまでのこと
- 彼岸花の彼女と一緒に詩人を待つまでのこと
- 詩人のために手をひくべきかどうかと考えるまでのこと
- 虫の知らせを信ずべきかどうかと迷うまでのこと
- 画家夫人の臨終は嘘かまことか、あまりにも永がすぎると思うまでのこと
- 全世界にむかってそれを求めるまでのこと