2006年3月、二玄社から刊行された疋田寛吉(1928~1998)の評論集。編集は岡本勝人と森高雲。
目次
詩人の書
- はじめに
- 西欧の詩を種として産声を上げた明治の新しい日本の詩
- 「千曲川旅情のうた」島崎藤村の詩書
- 詩歌の書と近代詩の書の違い
- 詩の書を求めての書の羽化
- 詩人の感覚をむきだしにした朔太郎の書
- 春夫と達治の詩書
- 類型的でない、それぞれの書質の違い
- 詩人に書の執着があってこその詩書
- 犀星に詩書のない理由
- 書道は絶壁の世代
- 詩句の味わいの出た書
- ”幻影の人”の詩書――西脇順三郎の場合
- ダダイスト新吉の詩書
- 草野心平の書の骨格
- 意識的でない詩書の系列――立原道造の場合
- 現代詩を毛筆で書くことの意味
- 詩書の一つのケースとして
詩の姿
- 墨書と詩
- 鮎川信夫――石徹白の詩碑
- 現代詩の書作――原作のうたが聞こえる書
- 対談 北村太郎x正田寛吉
- ・詩魂現の書―『断腸亭日乗』に見る荷風の書
- 荷風の〈筆札〉感覚
- 見逃せない荷風の書の二要素
- 初期の毛筆忌避からの反転
- 江戸時代の書家 沢田東江
- 際限もない原稿の浄書と荷風の書論
- 隅田川に投げ捨てた文反古
- 偏奇館に出入りしだした二人の青年
- 〈筆札〉に背かれた荷風
- 『来訪者』と日乗の対照
- 偽筆事件発覚と書のウエイトの退潮
- ”日本文化の滅亡の時いよいよ迫り来れるなり”
- むすび
近代芸術家の書――その異形の書の系譜
- 注目され出した近代芸術家の書
- 『明星』発刊を契機として
- 書の世代差の持つ意味
- 荷風と能成の世代差の実感
- 異形志向の根をさぐる
- 既往の書法と無縁の世代
- 八一仮名書きの意味
- 碧梧桐、〈新傾向俳句〉六朝風の仮名書き
- 近代究極の異形
- 潜在する日本の書のベース
あとがき岡本勝人・森高雲