2002年3月、港の人から刊行された笹原常与(1932~2012)の第3詩集。造本・組版設計は堀渕伸司。
長きにわたって滞留したこの仮泊港から、出帆しなければならない時も近づいた。滞留中に、私なりに見聞きしたあれこれの事柄を書きとどめておこうと思い、詩集の形にしてそれを書付けた。第二詩集『井戸』(一九六三年)刊行以後約四十年の間に書きとめたものの中から選んだ。私のささやかな第三詩集である。
(「書付け」より)
目次
Ⅰ 消毒抄
- 畳まれた海
- 言い残された夏
- 悲しみ
- 猫
- 高い木
- 異邦人
- 海辺の町にて
- 道
- 路
- ガード
- 出席簿
- 果実
- 葡萄
- 結晶
Ⅱ 假泊港
- 浚渫船
- 密輸船
- 寂寥の艦隊
- 磁石
- エレベーター
- 溺死
Ⅲ 濡れた魚
- 濡れた魚
- 魚のかたち
- 濾す魚
- 魚の構造
- 川蝦
- えび
- 水すまし
Ⅳ 遙かなる視線
- 魂
- 魂についての補註
- 眼
- 少女
- 待ちぶせ
- 出来事
- 遠い路
- ハムレット
- 力について
- 脱衣
- リフレイン
Ⅴ 稀薄な人影
- アルカリ性の男
- 探検隊
- 稀薄な男
- 寒い男
- 痩身の兵士
- イメージの狩人
Ⅵ ダンス・デッサン
- ダンス・デッサン
- ダンス・デッサン(2)
- 四行のダンス・デッサン
Ⅶ 紙飛行機
- 引き算
- フルートを吹く人
- 夏
- 留守居
- 木
- イメージ
- 投網
- 独楽の廻転
- 紙飛行機
- 手の蒐集
- レース
- 影踏み
- 回転ドア
書付け