1990年8月、日本文芸社から刊行された増田みず子(1948~)のエッセイ集。付録栞は島弘之による著者インタビュー。
「シングル・ノート」という題名に、別に深い意味はありません。特に、独身者の記録、というような意味をこめたつもりは、まったくないので、ご理解いただきたいと思います。強いていうなら、自分のこと、数年間の独り言を集めたもの、とでもいえばいいでしょうか。世の中の動きの速さに、いつも、呆れています。数年を経れば人の環境も考え方も変わって当然のようです。
自分のことでも、何が変わって何が変わらないままか、ふだんはあまり気にするゆとりもなく暮らしています。こういう、たくさんの独り言を見直す機会に、折々の自分を振り返って、その変わりようを改めて眺めるのは、恐しいような、新鮮なような、不思議な気分です。
自分が別人のようにも見えてくるし、自分のうしろ姿を遠くから眺めているような、よそよそしい気分も、胸のうちに生じてきます。
けれど、漠然とはしていますが、どんな未来に向かっているか、自分の今後の歩く方向も、見えてくるような気がしています。たくさんの人に、感謝しています。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 出会い
- 男と女
- 結婚したことのメリット
- 遊び仲間
- 結婚と小説
- 今の暮らし
- 家庭の可能性
- 馴染めない言葉
- 赤い風船
- 自信たっぷりの人は信用しないに限る
- 好きな男の条件
- 「個性的」な若者
- 時間のかかること
Ⅱ
Ⅲ
- 手紙の返事
- 名前
- 匂いガラス
- 欲しいもの
- マグカップ
- 暴走自転車
- お馬さま
- そばとアイスクリーム
- すいかの廃棄率
- 新モダン・タイムス
- みんなの数学
- みんなの科学
- ウイルスとのつきあい
- エイズの来歴
- 進化
- 小説とエイズ
Ⅳ
- 文庫とのつきあい
- 本
- 耳にしみる呟き 辻章『逆羽』
- 『アフリカの日々』
- 今年の3冊
- 本好き
- 『非言非黙』
- 初対面の歌たち
Ⅴ
あとがき
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