蛇の目傘 北野一子詩集

 2002年12月、編集工房ノアから刊行された北野一子(1936~)の第2詩集。装画装幀は林哲夫。著者は東京深川生れ、刊行時の著者の住所は京都市西京区

 

 つゆの頃、浅草観音様裏手の草津亭さんで女学校の同期会があった。友人達は歩いてきたり、東京近辺の地下鉄や電車を利用してが多かったが、早朝京都から新幹線に乗って、参加したのは私一人だったと思う。
 ふと、あの戦災と家族離散がなかったら、私もこの隅田川近辺の下町で暮らしていた筈だったと思った。
 ―葉落帰根―母から生まれ亡母の許へ帰ってゆく、そんな思いで拙い詩を綴って参りました。生き延びて、この様に長く生かされて来たことをただ感謝するばかりです。
 好きな詩人の詩集を中年の頃は、朗読させて頂いてきました。(京都ライトハウス、丹後視力障害者福祉センター点字図書館へ収めました)
 実作の手ほどきは、二十数年前に京都勤労者学園の「詩の教室」へ出席したことが、ご縁でした。天野忠講師を始め滋味深い詩人の方々にお出会いしたことです。
 河野仁昭先生の「すてっぷ」誌は、創刊号(一九八一年)から同人参加し、すえかわしげ氏の「都大路」誌にも参加させて頂きました。
 この三年近くは、朝日カルチャー「現代詩」講座で、大野新講師よりその折々に、ご助言を拝受。また教室の先輩詩友のはげましのご批評を頂く恵まれた時間でした。
 日の浅い私を温かく導き下さった近江詩人会の方々、すてっぷ、都大路での詩友、お世話になりました編集工房ノアの涸沢純平様に感謝致します。
(「あとがき」より)

 

 


目次

  • 黙礼
  • ひとりあそび
  • 覆燈火
  • 人吉ループ橋
  • ねはんにし
  • 五位の月
  • 行合の空
  • この秋
  • 竹輝(チュホイ)の月
  • 運河の都
  • ピエタ
  • 旧約の広場
  • 橋のたもと

  • 境界線
  • 深川いせや
  • 昔々亭さん
  • こと有り
  • ひとり立ちのイマージュ
  • 白い花の咲く頃
  • 負ぶい紐
  • シルエットの町
  • 浄土へ
  • 大阪の空をみている
  • 天神さまの道
  • 此処で
  • 広島へ
  • 辰の年に
  • むかし
  • 川向こうの
  • 残りの葉
  • 根方で
  • 蛇の目傘

あとがき


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