1987年10月、詩の会・裸足から刊行された今井文世(1939~)の第2詩集。装幀は若林緑。著者は岡山市生まれ、刊行時の住所は備前市。
七年前、第一詩集を編んですぐ後のことです。ある冬の朝、前夜、夫が小学生の次男の散髪をして、その時の小さな手鏡が、ガラスの面を上に向けて台所の椅子の上に置かれていました。その時、冷たい光で私をひきつけたこの鏡は、夜明けまでの、私の台所のどんな闇を映していたのだろうという思いにつよく捕らえられました。それまで台所を出たところで詩を書いていた私は、その時初めて、台所の中から書くことが出来ると感じ、この七年の間、テーマは台所、そこへ集まってくる家族、家族が生活する家へと広がっていきました。私自身を含めてまだまだこれから変化を重ねていく家族を見つめて、書き続けていきたいと思っています。
古墳の山裾に住んでいることも、いつも悠久の時間を意識させられ、私たち家族がここに住んでいる時間が一瞬の幻のように思え、一日々々が大切でなりません。
坂本明子さんはじめ「裸足」の仲間に引張られて、ここまで書いてきました。
又、私が書くことに対しては、長い間いつも、何をおいても協力してくれた夫や子供たちにも心から感謝しています。装丁は実妹、若林緑の切り絵を使いました。発行日は結婚二十五周年の日としました。
(「あとがき」より)
目次
- 夜明けまで
- (1)
- (2)
- (3)
- (4)
- (5)
- (6)
- (7)
- 朝の道
- (1)
- (2)
- (3)
- (4)
- 目覚めると
- 朝食
- 木もれ陽
- 岸辺
- 赤い月
- 一本の木
- 向こう側
- 虫の声
- 百舌
- 冬の窓
- 家族の森
- 春の雪
- 伸びる
- 朝の庭
- 竹薮の中の家
- 深みどりの譜
- 山鳩
- 漂う
- 待つ
- 春の落葉
- 湿原
あとがき
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