1980年10月、論創社から刊行された小澤克己(1949~)の第1詩集。装幀は野村東央留。著者は川越市生まれ、刊行時の住所は川越市。
第一詩集を上梓したことにおいて、全く感慨が無い訳ではない、が、それよりも、今迄にあった様々な出会いと、これからありうるだろう様々な出会いに心が占められている。もとより拙い詩作品の羅列ではあるが、たった一度限りの生を全うし、固有の思想を獲得するための第一段階の証として、此の詩集を編み、題名を『遅滞』とした。父の死後、私は世の中の流れに置き去りにされてしまったような気がした。それは、経済的、社会的困苦よりも、人間関係における困難さが、私を世界から疎外させた。私は私で、自己内的時間空間を生きるしかないと思った。外的時間の流れに拮抗し、自己の意志で踏み留り、確固たる内的時間で思想を形成しようとしたのが〈遅滞意識〉であった。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 野分の日
- 冬の夕暮
- 灰の家族
- 夜の河
Ⅱ
- 海
Ⅲ
- 遅滞Ⅰ
- 遅滞Ⅱ
Ⅳ
- 火のわかれ
- 水のわかれ
- 待つ
- 清瀬
あとがき
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