1984年6月、編集工房ノアから刊行された永瀬清子(1904~1995)の随筆集。カバーは松島明、扉カットは著者。ノア叢書3。
昭和五十三年の春から、福音館の「母の友」にしばらく随筆をつづけて書きました。それを中心にして、あと若干同様な種類のものを集め第一章としました。
第二章は、それよりも少し前の昭和四十八年の初夏に、熊本日々新聞に一カ月つづけて書いたものからです。
第三章はもっと早く、昭和二十七年に岡山の日本文教社から出版し、いま絶版になっている『女詩人の手帖』の第四章にあたり、「まだ詩にならぬ章」と名づけた部分です。
「母の友」に書きだした時は、私が今すこし自分らしい仕事をする時間がほしいと思って、シャニムニ勤務先をやめた時で、しかもやめるのはやめてもまだ何の生活のあてもない、といった時期でしたから、「母の友」の仕事を偶然に貰えたのは、私には思い出に残るうれしい事でした。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ 光っている窓
- 忘れている「山」と「川」
- 親のできること
- 小さい石
- 子供に書かされた詩
- 汲めどもつきず
- 幼い頃の読みもの
- 光っている窓
- 貰いもの
- 唇の釘
- 本当はどうなのだろう
- 黒いシルエット
- 山の呼び声
- 消えてゆく子守唄
- ほとばしる詩の意味
- 私の母
- 長い長い仕事
- 私のアジア旅行
Ⅱ 日々の彩り
Ⅲ まだ詩にならぬ章
- 寝台券
- 衣食住
- 姓名
- 山刈り
- 長島
- 悪魔と天使
- 息子
- 従兄
- 菜穂子
- 月夜
- 茶の間
- 女の友達
年譜
あとがき