君たちはどう生きるか 吉野源三郎

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 1937年8月、山本有三が編纂した「日本少国民文庫」シリーズの最終刊として新潮社から刊行された吉野源三郎(1899~1981)の小説。装幀は恩地孝四郎(1891~1955)、挿絵は脇田和(1908~2005)。

 

目次

コペル君と叔父さん
まえがき

  • 一、 へんな経驗
  • ものゝ見かたについて(叔父さんのノート)
  • 二、 勇ましき友
  • 眞実の経驗について(叔父さんのノート)
  • 三、 ニュートンの林檎と粉ミルク
  • 人間の結びつきについて(叔父さんのノート)
  • 四、 貧しき友
  • 人間であるからには(叔父さんのノート)
  • 五、 ナポレオンと四人の少年
  • 偉大な人間とはどんな人か(叔父さんのノート)
  • 六、 雪の日の出来事
  • 七、 石段の思い出
  • 人間の悩みと、過ちと、偉大さとについて(叔父さんのノート)
  • 八、 凱旋門
  • 九、 水仙の芽とガンダーラの佛像
  • 十、 春の朝

一人一囘限り
坐り

漫畫 赤ノッポ青ノッポ・養鶏の巻 武井武雄
附録 私はどう生きたか(生活記録のページ)


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定本岩魚 蔵原伸二郎詩集

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 1965年12月、詩誌『陽炎』発行所から刊行された蔵原伸二郎(1899~1965)の遺稿詩集。第16回読売文学賞受賞作品の定本。附録栞は「蔵原伸二郎との交遊」(青柳瑞穂)、「まことの詩について」(浅野晃)、「日本的回帰貫いた蔵原」(安東次男)、「蔵原伸二郎の詩集」(江藤淳)、「詩の成長について」(浦地歓一)、「東洋のシュペルヴィエール」(北川冬彦)、「岩魚」(草野心平)、「あの頃のことなど」(神保光太郎)、「盆の月」(中谷孝雄)、「岩魚」(深尾須磨子)、「蔵原さんの思い出」(保田與重郎)、「父と私」(蔵原惟光)。

 

 はからずも権威ある読売文学賞を受賞して驚くとともに、たいへんうれしく思っています。
 もともと詩集『岩魚』(初版)は、飯能在住二十年を祝ってくれる意味で、飯能市の若い詩人たちが計画出版したものであります。だから、受賞などということは夢にも考えなかっただけに、ほんとうにうれしく思いましたが、全体の配列とか、バランスとかにあまりこだわらないで、なにげなく二十年も前の詩なども入れてしまったことなど、受賞してみると、この不体裁をなんとも残念に思っています。これはまったく私自身の落ち度で、もし『岩魚』が再版される機会があれば、その部分は除いて出版したいと思っております。
 さて、もともと私のことを、世間では東洋的な詩人だと称していますが、決してそれに不服は申し上げませんが、私は特に東洋的な意識をもって書いて来たのではなく、ただ自然な状態において、東洋的であり、日本的であることはきわめて当然なことであると思います。たとえば、ロダンセザンヌがフランスの自然を愛し、また同時にフランス人であったのと同じことではないかと思います。私は、これまでできる限りヨーロッパの詩論や詩も研究して来たつもりであります。と同時に東洋には、以心伝心的な東洋独特の詩論がやはり存在し、その一面を代表するものは禅の考え方ではないかと思います。これは、ヨーロッパの詩論とある意味において対立した考え方かもしれません。私は生涯の念願として、この二つの東西の詩論をなんらかの形でまとめたいと考えながら、工夫して来たつもりですが、それにもかかわらずご覧のような出来ばえで、誠にお恥ずかしい次第であります。
 ただいま私は、入院中で絶対安静を命ぜられておりますので、晴れの受賞式に参加できないことは誠に遺憾の次第であります。(「自序にかえて 蔵原伸二郎」より)

 

目次

序 河盛 好蔵
自序にかえて 蔵原仲二郎

  • めぎつね
  • 黄昏いろのきつね
  • おぎつね
  • きつね
  • 老いたきつね
  • 野狐(やこ)

岩魚

  • 岩魚
  • すずめ
  • 落日
  • 西瓜畑
  • 遠い友よ
  • 石の思想

岸辺

  • 岸辺
  • 不在の人
  • 昨日の映像
  • 故郷
  • 暗号

五月の雉

  • 五月の雉
  • ひよどり
  • 分校に行く道
  • 孫娘とふたりで
  • 動物園にて
  • 風の中で歌う空っぽの子守唄
  • 系図

卵のかげ

  • 卵のかげ
  • 生命のかげ
  • 晩秋
  • 時間は消える
  • しずかな秋

拾遺

  • 足跡

「蔵原伸二郎様」棟方志功
詩集『定本岩魚』覚え書き
年譜 河盛好蔵


自序にかえて 読売文学賞受賞の言葉 蔵原伸二郎 


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わが忘れなば 小沢信男

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 1965年11月、晶文社から刊行された小沢信男(1927~)の第1著作集。装幀は平野甲賀(1938~)。

 

 これは私の第一創作集です。
 作品の配列は、近作二篇で旧作九篇をサソドヰッチにしました。
 書いた順にならべると、次の通りになります。
 「新東京感傷散歩」(江古田文学・52年8月号)
 私かはじめて散文で書いた作品で、これでも小説なら小説もワルくはないな、と思いました。当時血のメーデー事件、早稲田大学に警官隊乱入事件などありましたが、私はもっぱら恋愛中でした。
 「喪骨記」(新日本文学・53月4月号)
 長篇の第一部第一章のつもりでしたが、これだけ書いたらくたびれました。私は肺活量が足りないので、長距離にはむかないな、と思いました。
 「盧生都にゆく」(新日本文学・58年5月号)
 盧生が都にいってからのことも書かねば小説ではないよ、と云われ、なるほど小説は根気のいる仕事たんだな、と思ったことを覚えています。
 「徽章と靴」(現代芸術・58年 創刑号)
 記録風な小説のつもりで書きましたが、鶴見俊輔さんが『日本の百年』(筑摩書房刊)という本の中に記録として引用して下さったので、小説風な記録かもしれません。どちらでもいいでしょう。
 「体の中のオルゴオル」(近代文学60年7月号)
 童話風な小説のつもりで書きましたが、しょせん宮沢賢治童話の亜流だったようです。なお、当時スチュワーデス殺し事件というのがありました。カンケイないかな。
 「畜仙譚」(新日本文学・61年2月号)
 これを発表した昭和36年は、ウシ年です。干支(えと)とか年まわりとかは、敗戦を境いに吹っ飛んだと思っていたら、そっくり健在なので、ほとほと感服してこれを書きました。
 「さなだ虫」(現代芸術・61年8月号)
 当時、ショートーショートというのがハヤっていたので、オレもひとつ、と思って書きました。
 「七夕日記」(新日本文学・61年10月号)
 小説風な記録を、日記スタイルで書いたわけです。
 「碑文字」(新日本文学・63年1月号)
 当時、S・Fというのがハヤっていたので、オレもひとつ、と思って書きました。
 「わが忘れなば」(新日本文学・65年1月号)
 これは手紙スタイル。なお、作中の鮎沢少年は実名のモデルがありまして、彼の句作品を、作中の「牧野次郎」は一つも覚えていないというが、作者の私は幸いに古いノートから二三発見しましたので、ここに記して十六年前の約束の一部を果たしたいと思います。 

  秋たかし少女蹴上ぐる靴の行方 鮎沢杜詩男
  癒えたけれ行く雁の背に月光(ひかり)の輪
  明日は逝く妹なり花火見せんとす


 「もしもし」(新日本文学・65年5月号)
 これは電話スタイル。日記と手紙と電話のほか、私のようなふつうの人が持ちあわせる表現形式は電報と、それから座談と独語と寝言ぐらいしか残っていないような気がしています。
 以上のほかにも作品がないではないが、この十一篇を書くのに十四年かかっております。十四ヶ月の語植ではないので、これはつまり私が月日をゼイタクに使ったのだと思うのですが、あいにく「ゼイタクは敵だ」というスローガンをきいて育ったもので、なんとなくうしろめたい。はずかしい。
 ともあれ、このスロー・ペースに気長につきあってくださった新日本文学会の方々、そしてこの本を作ってくださる晶文社の方々が、じつにありかたく思われます。それから活字を拾ってならべて下さった方々や、製本屋さんや、小売屋さんや、なにやかや、本来なら菓子折もってずうっと廻りたい気分ですが、とても廻りきれないので一切省略。
 終りに、かさねて申しますが、これは私の第一創作集です。というのはつまり、第二、第三と続くぞ、という意志の表明でありまして、われながらいさましい。私の。ヘースでゆくならば、これからもよほど長生きをせねばなりますまい。

(「あとがき」より)

目次

  • わが忘れなば
  • 徽章と靴―東京落日譜―
  • 新東京感傷散歩
  • 畜仙譚
  • 盧生都にゆく
  • さなだ虫
  • 碑文字
  • 体の中のオルゴオル―オルゴオル太郎の生涯―
  • 喪骨記
  • 七夕日記
  • もしもし

あとがき

 

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血のたらちね 古賀忠昭詩集

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 2007年10月、書肆山田から刊行された古賀忠昭(1945~2008)の第5詩集。装幀は稲川方人(1949~)。第17回丸山豊記念現代詩賞受賞作。第38回高見順賞候補作。

 

目次

  • ちちのはは
  • 血の父
  • 血の遠景

 

書評等
詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)
blog 時のおもちゃ箱
YOKOSION BLOG

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女流詩人 詩を愛するあなたのために 諏訪優

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 1966年7月、新書館から刊行された諏訪優(1929~1992)の米国女性詩評論集。装幀は横尾忠則(1936~)。

 

 私はこの本で少し欲ばりすぎたかもしれない。
 それは編集部の要望と言うよりも、書きながら、わたし自身がだんだん深みへはまりこんでいった感じがするのである。
 ”詩を愛ずるあなたのために”というこの本の副題をいただいて、文字どおり、あなたのために何もかにも書いてみたい、できるだけたくさんの詩を紹介してみたい、そういう気持ちにさせられたのであった。
 それでもなお、書き足りなかったことがたくさんある。それらについては、あなたたち自身が自分で探がし、自分で勉強してくださることを希望するばかりである。そのことが、あなたとあなた自身の詩にどんなに役立つかは言うまでもない。
 本当のことを言うと、詩に男性の詩も女性の詩も区別は必要ないのであり、女性で詩を書く詩人を、たまたま女流詩人とよぶにすぎないのである。
 ただみなさんにとって、同じ女性の詩から詩に近づくことのほうが、より親しみやすいことはたしかだろう。そんな意味から女流詩人について多く書き、そのあいだに男性の詩も多少加えながら、全体としては、”女性と詩”というような問題を考えてみたつもりである。

(「あとがき」より)

 

目次

はじめに

  • 詩とは何だろう
  •  詩とは何だろう
  •  女性の感情と詩のリズム
  •  各国の女流詩人
  • アメリカの女流詩人
  •  アメリカの文化と詩の歩み
  •  アメリカに女流詩人の多い理由
  • 愛の詩
  •  エミリイ・ディキンスンの愛の詩
  •  現代にうけつがれた愛の詩
  • いろいろな詩の主題
  •  ギリシャ的抒情詩
  •  自然をうたった詩
  •  ガートルード・スタインの詩
  •  新しい時代のまえぶれ
  •  生活と詩
  • ビートージェネレーション
  •  ビートージェネレーションとその周辺
  • 日本の女流詩人
  •  三人のともだちのこと
  • あなたが詩を書くときのために
  •  詩をかくあなたに
  •  詩のテーマ
  •  詩のかたち
  •  よい詩とわるい詩

あとがき


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贈りものについて 片山令子詩集

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 1984年5月、書肆山田から刊行された片山令子(1949~2018)の第1詩集。装画は片山健(1940~)。

 

 手の形ばかり見て来た。古い絵や聖像の中には、多く胸の前でゆきあった手を見つけてきた。その中で、ぴったりと楔形(くさび)に重なった手の形より、指先と手の腹をわずかにつけただけで丸くふくらんでいる手の方をよく見ていた。思いつめたこころにひとしきり押えつけられた手は、その返りであとはきっとぼんやりとふくらんでゆく。その白痴のように放心した卵形のふくらみの中に、わたしの支払うべき秘密と宝は匿されていると思って見ていたのだ。
 その形は、幾度もくり返される離反のたびに結ばれる、婚姻の秘儀なのかもしれない。
 わたしに訪れたかたくなな手の楔と、指の間から親友してそれの幾つかをふくらんだ蕾の形にした、遠い息をここにこめた。(「後記」より)


目次

  • 六つの石の音
  • あけがた
  • 葉っぱ
  • 贈りものについて
  • 皿の上の食物と花火
  • 首ノナイ無頼ノ神ハコノヨウニ人ヲ抱擁スル
  • 雲との食事
  • おまえの顔は一番の不思議
  • 両耳のファロス
  • 月の菓子
  • 秘密

後記


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101人の現代詩人1983

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 1983年5月、昭森社から刊行された現代詩アンソロジー。編集者は前川知賢。

目次

序 流れの中に立って
凡例
一〇一人の現代詩人 作品と解説

  • 荒川洋治    古い愛の時間
  • 青木はるみ   鯨のアタマが立っていた
  • 相場きぬ子   部分
  • 阿部恭久    ことしのさくら
  • 浅井薫     鉄線
  • 安部寿子    はるののげし
  • 新井豊美    朝の坂
  • 井奥行彦    ロンド
  • 井坂洋子    軽いひざ
  • 石毛拓郎    九月のゲートボール
  • 一色真理    月見草・一滴の水
  • 伊藤昭子    電車・渚を歩く白い馬
  • 伊藤勝行    けもの あるいは樹木
  • 井元霸彦    国道二号ライオン館
  • 入沢康夫    漂流する鳥たち
  • 岩成達也    マルケン島紀行のためのメモ
  • 植嶋亨介    黒い馬・白い悲しみ
  • 埋田昇二    菖蒲
  • 江川英親    村の驢
  • 大井康暢    中宮寺
  • 大滝清雄    稲妻
  • 島弘子    さわぐ・いのり
  • 岡田武雄    山野行
  • 小川アンナ   茅花と風
  • 大沢静江    新しい石だたみ
  • 大西美千代   石を置く
  • 大野新     奸計
  • 角田清文    小文字のb子ちゃん
  • 笠原三津子   灰・堺をのぼる蛇
  • 柏木義雄    スミソニヤン博物館・象
  • 片岡文雄    生存への夢
  • 甲木美帆    夏草
  • 金掘則夫    石の空
  • 亀田道昭    日の走行
  • 川井絢子    水の界
  • 木澤豊     恐山にて
  • 北川透     表層旅行
  • 黒田達也    省略する
  • 黒部節子    廊下
  • 経田佑介    春の市
  • 郷原宏     沙羅雙樹
  • 後藤一夫    鈴の音
  • 小長谷清実   波立つビール 耳朶を打つ
  • 小松弘愛    狂泉
  • 斎藤怘     ちゃちぎ
  • 佐合五十鈴   仮の場所から
  • 佐々木洋一   猫好き
  • 沢田敏子    相対
  • 山海清二    輪
  • 島田陽子    呼ぶ
  • 清水昶     国名
  • 清水正吾    塔を巡って
  • 白石かずこ   命日
  • 進一男     面影並木―わが郷愁
  • 須藤伸一    予感
  • 高木秋男    逆さ柱の家
  • 高木護     天に近い一本の木・飢え
  • 高橋喜久晴   つるべ
  • 田中勲     客土
  • 田中規久雄   患者の安心
  • 田中孝     雪降る
  • 田中保     湖・白木連
  • 谷川俊太郎   世の終りのための細部
  • 立川喜美子   こだわることば
  • 津坂治男    首もぎ
  • 戸上寛子    残響
  • 冨長覚梁    少年の日
  • 中正敏     抗議・揚雲雀
  • 永瀬清子    捕え得ず
  • 中野貞夫    便り
  • 成田敦     ある爽快
  • なんば・みちこ 最後の一匹
  • 西一知     明け方ふたつの星を
  • 日原正彦    暗い背
  • 福田万里子   東頸城郡松之山にて
  • 太原千佳子   ピアノ
  • 細田幸平    欲望
  • 前川知賢    ゆうべの雲
  • 松井滋     雨痕
  • 松下のりを   声
  • 松下和夫    天体
  • 水口洋治    銀のしずく降る降る
  • 水こし町子   待っているのは何
  • 水野降     幼年伝説
  • 三井葉子    こぼれる・君や来し我や行きけむ
  • 南邦和     腐蝕
  • 村上嘉隆    円足・欠落
  • 紫圭子     アクリル
  • 望月苑巳    定家卿の思想
  • 山内清     こわい眼
  • 山田茂里夫   キリコ
  • 山本耕一路   春日幻夢
  • 山本晋二    果樹園にて
  • 由利俊     ワラウ男
  • 横井新八    落合川
  • 吉野弘     或の朝の
  • 原幸子    砂
  • 若林光江    沈黙・卵
  • 若原清     月あかりの鞭・儀式
  • 若山紀子    鰯
  • 渡辺正也    不在

一〇一人の現代詩人のプロフィール


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