1966年7月、新書館から刊行された諏訪優(1929~1992)の米国女性詩評論集。装幀は横尾忠則(1936~)。
私はこの本で少し欲ばりすぎたかもしれない。
それは編集部の要望と言うよりも、書きながら、わたし自身がだんだん深みへはまりこんでいった感じがするのである。
”詩を愛ずるあなたのために”というこの本の副題をいただいて、文字どおり、あなたのために何もかにも書いてみたい、できるだけたくさんの詩を紹介してみたい、そういう気持ちにさせられたのであった。
それでもなお、書き足りなかったことがたくさんある。それらについては、あなたたち自身が自分で探がし、自分で勉強してくださることを希望するばかりである。そのことが、あなたとあなた自身の詩にどんなに役立つかは言うまでもない。
本当のことを言うと、詩に男性の詩も女性の詩も区別は必要ないのであり、女性で詩を書く詩人を、たまたま女流詩人とよぶにすぎないのである。
ただみなさんにとって、同じ女性の詩から詩に近づくことのほうが、より親しみやすいことはたしかだろう。そんな意味から女流詩人について多く書き、そのあいだに男性の詩も多少加えながら、全体としては、”女性と詩”というような問題を考えてみたつもりである。(「あとがき」より)
目次
はじめに
- 詩とは何だろう
- 詩とは何だろう
- 女性の感情と詩のリズム
- 各国の女流詩人
- アメリカの女流詩人
- アメリカの文化と詩の歩み
- アメリカに女流詩人の多い理由
- 愛の詩
- エミリイ・ディキンスンの愛の詩
- 現代にうけつがれた愛の詩
- いろいろな詩の主題
- ギリシャ的抒情詩
- 自然をうたった詩
- ガートルード・スタインの詩
- 新しい時代のまえぶれ
- 生活と詩
- ビートージェネレーション
- ビートージェネレーションとその周辺
- 日本の女流詩人
- 三人のともだちのこと
- あなたが詩を書くときのために
- 詩をかくあなたに
- 詩のテーマ
- 詩のかたち
- よい詩とわるい詩
あとがき