1966年8月、桑文社から発行された生路洋子(1933~)の第2詩集。表紙イラストは八木啓輔。1964年から1966年までの作品を収録。
生路洋子さんの作品について 前川知賢
結論から先にいえば、彼女の詩の本領は、中江俊夫氏も指摘していられるとおり、ひとの思いをすっかり優しくするひとつの方向をもっていることである。これ即ち愛の心であろう。いつくしみは彼女にとって本然的なもので、そのやさしさは一尾の魚、一茎の草にまで及んでいるが、今この中心的な<愛>の季節に際会して彼女の琴線が水を得た魚のように高鳴ったことは当然として、私は今ひとつ、そこで彼女が彼女独特の卓越した才能を発揮していることを感じないではいられない。
目次
1
2
- 季節―1―
- うた
- 確かめる
- 果実
- 悲しみが
- 夜の町にて
- 詩人の手
生路洋子さんの作品について 前川知賢