2015年10月、書肆子午線から刊行された稲川方人(1949~)の第11詩集。挿画はユズキカズ、装幀は著者。第24回萩原朔太郎賞候補作。
一冊全部を通して一連の長篇詩となるようにしか詩集をつくってこなかった。それら既刊詩集に与しない詩篇をふたつの「未刊詩集」として編集し、「現代詩文庫」および「全詩集」(ともに思潮社刊)に収めたが、本書は、数篇の未収録詩篇を加えて再構成・加筆されたそのひとつである。
「未刊」の檻から解放されて、詩篇たちが大きく呼吸し始めているような気がする。しかし、その呼吸はどうみても現在の時代に適そうとしていない。(「覚書」より)
目次
- いずこへか、鉄橋の影
- ヴィジョン
- 死者の番
- 一名の詩に、樹は生い繁る
- スタソダード・サイズ
- 花火の子供
- 年老いた先生の傘の下でぼくは肝をひやしながら指さした
- 船の映画は、一九五〇年代のさびしい人々の目に映る
- かくある貧しき都市に反駁ありや
- ぼくがどんな町に帰るのか誰も教えない
- さようならアソトナン、ぼくはまだそこまでは行かない
- 約束の人を待ちなから
- 帝国叙説Ⅰ
- 帝国叙説Ⅱ
- 首飾りの歌
- ピュア・ゾーン
- 最終戦争のとき
- 形式は反動の階級に属している
- 海で、永遠の奇数を数える
- 秋のエクリ
- コオロギ遺文
- SKA
- フォン・ゴッテス・グナーデン、たたかう川を
- コモンウェルス・チャイニーズ
- ペイル・ライダー
- 追悼詩篇
- 磯辺を行く亡き母に捧ぐ
- 善悪の面影
覚書