1976年10月、角川書店から刊行された石川桂郎(1909~1975)の随筆集。装幀は小島直。
石川桂郎の随筆は、小説的な味が濃い。
こんな好材料を、こんな無造作に書き捨ててしまってと、何度惜しがったか知れないが、その度びに桂郎君はそのうち書き直しますと、すまなそうに答えるのを常とした。
さて、こうして一冊にまとまると、それが却ってこの人の並並でない才能を感じさせる。
身辺を、鋭く見ていたからこそのことであろう。
永井龍男
(「帯文」より)
目次
Ⅰ
- 手鏡
- 酒の器
- 転院
- 名月手術
- 螢火
- 初午
- 床場の椅子で
- 正月酒
- 左へ左へ
- 好意
- 五百五十人と一人の眼
Ⅱ
- カーチャ
- 京子の時計
- 河
- 映画館
- 少年
- やくざ
- 奇遇
- たち姿
- 「蔦や」のころ
- は善とぼろ市
- 菊と下町
- 角帯
Ⅲ
- 奥能登紀行
Ⅳ
- 「ぼるが」に集う人人
- 一ト匙の砂糖
- 初七日まで
- 大阪の宿
- 九官鳥
- 白頭翁
- 竹に鶯
- 菊
- 霜降月
- クリスマス・イヴ