1965年6月、津軽書房から刊行された一戸謙三(1899~1979)の詩選集。
大正八年(一九一九)から断続して昭和三十九年(一九六四)まで私は詩を書いて来たからその数は五、六百篇になってゐるであらうしかしそれらは習作に過ぎないものが多く、この詩集には六十篇だけを選み、戦前のものを前編とし、戦後のものはとした。それに随想七篇を附加したのである。
ここに選んだ詩を発表したのは、詩話会の「日本詩人」(新潮社発行)百田宗治主宰の「椎の木」それから郷土の「パストラル」「黎明」「青椅子」「鴉」「座標」「北」(第一次・第二次)「匙」「府」「北」第三次「雪」「浮彫」「闇」「偽画」「弘前詩会リーフレット」などにであり、そして東奥日報、弘前新聞、陸奥新報には詩の他に随想をも発表した。
私の詩には、地方主義文学としての方言詩や、頭韻を踏んだ十二音句四行によって構成される定型詩、訳詩があるけれども、それらをこの詩集には除外することにした。
この詩集に収めた詩のすべてを、これは詩といる芸術だとする自信はないが、私の貧しく苦しく寂しかった生活は、これらの詩によって支へられて来たのだ、とは言へる。
(「後記」より)
目次
・前編
・黄金の鐘
- 白い月
- 崖の上で
- 紫の靄
- 黄金の鐘
- 剪られた花
- 髪の雪
・水松の下に
- 夜、重い鎧戸を
- 渚
- 小さな墓
- 古城の白壁に
- 北風
- ああ、秋だ
- 水松の下に
- 屋根裏の室で
・月日
- 鴉
- 月日
- 別れ
- 古い鏡台
・夜々
- 影
- 室
- 夜々
- 夢
- 壁
・神の裳
- うららかなる笛
- ありふれた林
- 名もない散歩
- 仄かなる炉
- 神の裳
- 深みゆく額
・後編
・あの山とあの空に
- わたしはひとり
- みぞれの夜に
- わたしのもの
- 失はれた歌
- あざみの花よ
- わびしい世の中
- あの山とあの空に
・芒の別れ
- 返らぬ日ならば
- 忘れてゐた柳
- 風にさらされて
- 秋のある朝に
- 世にないあの日
- 芒の別れ
・乙女座
- 郭公
- 乙女座
- 夜霧
- 水仙の花
- ラプラードの絵
・黒い枝
- 約束
- その声
- 鏡のなかに
- 傾いた門
- 黒い枝
・第二の夢
- 深い夜
- ひとつの影
- 遠い足音
- あの世に
- 第二の夢
- 招くのは
- いとしい記憶
・随想
Ⅰ
- 十一月
- 茨の花
- 海
Ⅱ
Ⅲ
後記