1958年に飯塚書店から発行された菅原克己(1911~1988)の第二詩集。
……さて、菅原克己、詩稿を携えきたりて、僕に解説を求む、光栄なりといえど、その任にあらざるをいかんせん、まことに人生字を識るは憂患の始とかや、貪人眼前を思い富人来年を思うという、彼は眼前を語りて来年を思うの人なり、震雷聰を掩うに暇なしというが如きは彼の趣味にあらず、措辞簡明にして、読む者卒然として理解す、されど詩を語るは難いかな、あえて語らんか、ひそかに鬼の笑うところとならんのみ、僕は沈黙ス、朱門富むといえど貧しきにしかざるなり。
菅原克己は今日も、カバンをぶらさげて、サークルに出没している。
都会の中に砂漠あり…
(長谷川四郎「解説」より)
目次
野
野
夕暮れの詩二つ
朝
この明るさのなかで
日の楔
階段の上の部屋で
サークル圈
ぼくらにある住家
やさしい友だち
小さい歯
ブラザー軒
光褝寺通りのめくらの叔母さん
日曜日のシンデレラ
二つの穴
原子の出発
詩は百万の友のなかに
ぼくはひとり ぼくらは全部
あたらしい時に
ぼくらの年代から
飢え
1 新聞記事
2 夏帽子
3 「そびえるマスト」
4 二人
5 家
6 来訪者
7 椅子
8 やさしい日々
9 写真
練馬南町一丁目
饑餓時代
1 空気の部屋
2 金網
3 買出し列車
クリスマス・イヴの夜更け
日について
日の底
日の底
解説 長谷川四郎