1975年4月、朔人社から刊行された菅原克己(1911~1988)の詩集。
この詩集は『現代詩文庫』以後、三年間の作品をまとめたもので、ぼくの六番目の詩集にあたる。最初の詩集『手』は昭和二六年に出したが、当時、それだけでせい一杯のぼくには、六冊の詩集を持つなどということは、想像もできなかったことである。
だから、いわば<驢馬はただ鈴を鳴らせ>で、この世の、詩でしかいえないものとつれだってここまできたのは、たいへん幸運な道すじだったと思う。
巻末に初期の詩篇を入れたが、これらは偶然、古いノートの間から出てきたものである。稚い作品だが、処女作時代の記念のためにおさめた。「自分の仕事」は戦争さなかのもので、この頃はもっぱら、カロッサ、シュティフター、リルケのものを読んでいたようである。
(「あとがき」より)
目次
・叔父さんの魔法
- 雨の好きな少女
- 日比谷公園で仕事をしていたとき
- 高原で
- 最初の者に
- 小さな町で
- おばさんの話
- 叔父さんの魔法
・ミルクとハンバーガー
- シベリアのうた
- ミルクとハンバーガー
- つきあたりの夫婦
- 丘の上の小さな家
- いつの間にか夏になった
- 丘の上の小さな家
- 野バラ
- 天上の星
- 李君のごちそう
- 日の暮れに
・日々のかなしみ
- 夏の思い出
- むかしの歌
- 陽気な友だち
- 八月
- 夕映え
- 八月
- やさしい犬
- 言葉の向うで
- 日々のかなしみ
- ぼくの<夜間飛行>
- ジジ・ジャンメール
- スコット・サーカスのタベ
- 深夜の友人
- ユージン・スミス
- 日々のかなしみ
- 物語
- ある晴れた日に
・初期拾遺詩篇
- お通夜あけ
- 築地小劇場の帰り
- 生涯
- 哀れなあいびき
- 自分の仕事
あとがき