1988年3月、国書刊行会から刊行されたヨアヒム・リンゲルナッツの翻訳詩集。
川村之君が来ていう、「リンゲルナッツがどれもこれも絶版になって久しく、ひと目にふれることの全くないのは残念である、是非出したい」――そういって原案を示した。
詩の選択から配列までだいたいにおいて、極めて妥当と思われたので、全部一任することとし、旧かなづかいのままになっているものについては僕も一応目を通すこととした。
附録として入院日誌を加えることとした。リンゲルナッツに興味をおぼえ、その一生を追いたどってきた者にとっては、これは得がたい記録であると思う。(「あとがき」より)
目次
リンゲルナッツのこと
秋波
木喰虫
- 郵便切手
- 脚
- 嗅ぎ煙草入れ
- 浴槽
- 出産率
- 祝賀
- 地球儀
- 失敗に帰した愛の冒険
- 回り道
- 二個の分子が住んでいた
- 論理
- 譯詩
十字勲章
- 公園にて
- ブーメラン
- 玉突きの犠牲
- フリューバイセンお袋のお喋り
- 友人が僕にした話
- 夕立の後
- 名誉心
- 黄金虫描く
- 子供のお祈り
- 広告
- よく見れば
- 風邪をひいたニグロ女の夕の祈り
- 隠者の聖なる夕
- あなたが新しい年を支配することが出来たとすれば、あなたは何をなさるでしょうか
手風琴
- 運河の岸辺
- シガレットの煙に寄す
- 僕の古い船時計
- 雪
- 哀れな草
- 自然
- 古い裏塀
- 夜の帰途
- 新しい遠景
- 陰鬱な日
卵黄火酒
- すべて目算はずれた男について
- ある乞食の日記より
- ウェーデキント追憶
- カッセル
- ひそかな機械
- 霖雨
- たびたび篩を潜れば
- 子供のころの写真を見て
- 川の秋
陳列窓
詩人の晩年
年譜
あとがき