1982年11月、思潮社から刊行された井坂洋子(1949~)の第2詩集。叢書・女性詩の現在3。装幀と装画は菊地信義。第33回H氏賞受賞作品。
二、三ヵ月の間に書きとめたものがすぐに本になるという夢のような幸運な話が舞いこみ、腕まくりしてみたが、自分の力を過信していたように思う。二、三ヵ月といっても、多分詩は一日で決まる。自分の力だけではままならない気もする。その日がいつ来るか、そのために無駄になった紙が山のように積まれていった。私の場合、それがはじめのひと月あたりにやって来た。その一日をどこまで持続できるかで決まるのだが、緊張の持続が思ったより難しいことを知らされた。(「あとがき」より)
目次
- 柿
- くの字
- 仮小屋
- GIGI
- ひょっとこ
- 修行
- 緋の毒
- 穀倉
- 輪唱のための
- 晴れの日の感情
- 軽いひざ
- 回し紙
- 高熱
- 二階の竹刀
- 恋にならぬ
- キッチン
- 家宅
- 狂言入水
- サングラスの波
- 炎天下の湖
- 死体ごっこ
- 幕
- ちぎれた旗
- 生涯の画面
- 小石のゆくえ
- 孤児
- そと
- 白い根
あとがき