1969年5月、創文社から刊行された鳥見迅彦(1910~1990)の第2詩集。装幀は串田孫一。画像は1972年2刷版。
前著詩集『けものみち』(一九五五年刊)に次いで、この『なだれみち』がわたくしの第二詩集としてここに生まれた。十四年ぶりである。この詩集は、その十四年間にわたくしが書いた作品のうちから「山」にかかわりのある詩だけ八十九篇を選んで、編まれている。「なだれみち」というのは、なだれの通路のことだが、その運命的・悲劇的な意味にわたくしは戦慄を覚えつつ、詩集の題名とした。『けものみち』を姉とすれば、『なだれみち』は妹かもしれない。
(「あとがき」より)
目次
・うしろむきの磔
- 岩のテラス
- 遠い夜
- 堆石の上
- 第三のテラス
- 罰の夜
- 岩と残雪のあいだ
- 水筒
- 帰途
- いやな位置
- 岩の琴
- 出発
- そこから先へゆくな
- 白い紙
- 体刑
- 霧が死体をなめている
- うしろむきの磔
- 事故
・登攀者
- 眠る巨人
- 天のテラス
- 十本のゆび
- 登攀者
- どこの岩から
- 山へ
・ある一年
- 銀の帯(一月)
- なだれひも(二月)
- 痛みにたえて(三月)
- なぜいまも雪が(四月)
- 雪の塔が(五月)
- 小梨平の(六月)
- 子連れ雷鳥(七月)
- いつ、どこで、それは(八月)
- みんな、夏のおわりを(九月)
- 古びた木琴(十月)
- 若い天狗たち(十一月)
- スキーをぬいで(十二月)
・雪の精
・空には鷹
- 空には鷹
- コル
- 高原
- 山小屋への道
- アルプのけもの
- 恋のような
- 雲ノ平にて
- ぶなの木は
- 秋風のエスカレーター
- パイプ
- 夕ぐれ
- 探鳥行
・クララ
- 救けてくださいというクララ
- クララは帰らない
- 抱きつくクララ
- 大の字のクララ
- クララちぢむ
- クララのお花摘み
- 高原のクララ
- 手の双眼鏡
- 白いけもの
- 雁ヶ峰
- チムニーのクララ
- キレットのクララ
・ハイマツのハンモック
- 峠
- 雲ノ平
- ハイマツのハンモック
- 輪かんじき
- ”鏡ノ平”由来
- 仙女
- 峠は待っている
- こびとの輪かんじき
- 足あとのある風景
- 午後はいつしか
- ちえくらべ
- チングルマ
- 春はまぼろし
- 夜
- みちしるべ
- 夢ノ平
- 唐松小屋にて
- ムラサキマムシグサ
あとがき
書評等