1981年6月、私家版として刊行された市橋隆之助の第1詩集。
長良川のほとりに、明け暮れうつり変る流れの表情に、明暗の日々をすごしております。
いつの日にか、清流に多くのメダカや泥鰌が棲み、夕暮れの河原に月見草が咲いて、藻の匂いが漂う小石の上で、河鹿の鳴く古きよき昔の風情が甦ってくることを信じたいのです。
この詩集に収めた作品の殆どが色褪せた古いノートから選んだもので、私にとってそれぞれの時代を背景に、思い出の深いものであり、すぎ去った私の足音を聴く思いで、今も心にのこる詩であります。
この詩集を読んで下さった方が、あるいは虚空の残骸と受けとめられるかも知れませんが、それは茫々たる歳月の風蝕のいたすところと見すごしていただければ幸いです。
(「あとがき」より)
目次
・花信
- 花信
- 早春
- 山茶花の朝
- 片雪
・冬の鳥
- 文字
- 冬の鳥
- 白夜を踏む
- 寒椿
- 逝く水
・感情の樹
- 秋の鐘
- 感情の樹
- 栗の花
- 持病
・奥下呂春景
- 竹原村
- 初矢峠
- 湯谷温泉
・無上の歌
- 新月
- 秋立つ朝
- 無上の歌
・雑草の道
- 二月の雨
- 幸せのたより
- 雑草の道
- ロマンスの棲家
- 花束
・なごりの春
- 蒲公英
- 夢のおきふし
- なごりの春
- 無碍なる眼に
- 春の影
- 訣別
・鵜飼
- 鵜飼
- つむじ風
- 葉鶏頭
- ひこばえ
・さみだれの花
- 桐の花
- あじさいの花
- 石榴
- 五月雨
・今日と言う日を
- 枯葉のこえ
- 娘よ
- 或る手紙から
- 病院にて
- 旧友
- 今日と言う日を
- 振り向く者
あとがき