1983年5月、私家版として刊行された市橋隆之助の第3詩集。
年ごとに気力と情熱がおとろえて凡庸の身のかなしさに、思考を練ることもなく思ふままに書いた茲二年間の作品から集めた五十篇がこの第三詩集です。
きまった軌道をさまようだけで、言葉の海に難渋しながら、激動から沈静までの心の流離を記録したい願望は今も変りません。
詩を通じて多くの皆さんからの励ましと、貴重な教訓を賜った温情は終生忘れ得ないでしょう。
また詩集出版が縁で、数々のグループとの交流も深まり、若い人たちの新鮮な息吹きにもふれる機会を得ましたことも嬉しいことです。
詩は私の心の支えです。
黄昏の椅子に在って、思索の頁におりおりの記を綴りながら、友愛の絆にめぐまれて、これからも心ゆたかな平安の日々でありたいと願っております。
(「あとがき」より)
目次
・しぐれ雲
- 年輪
- 冬至
- つわぶきの花
- 素顔
- 乙女の日記
- 師走の月
- しぐれ雲
・それぞれの日々
- 隊列
- 風の便り
- 公園の朝
- 時のながれを
- 晴れたり曇ったり
- それぞれの日々
・名も知らぬ花に
- すすき野
- たんぽぽの旅
- すきま風
- 義歯
- 遅い春
- 心の花
- ボトルのロマン
- 名もしらぬ花に
・祭囃子
- 祭囃子
- つかのまの春
- 春の雨
- 花のいのち
- 土用波
- 虫たちの舘
- 普段着
・思案の窓
- 夜という時間
- 闇
- 啓蟄
- 風
- しぐれの宿
- 落花
- 山藤の花
- 思案の窓
・黄昏の椅子
- ともしび
- 波紋
- 証の花を
- 目
- 馬車馬
- 片栗の花
- 声なき声に
- 黄昏の椅子
・銀の座席
- 知恵袋
- 峠
- すれちがい
- 老眼鏡
- 銀の座席
- 一粒の種
あとがき