1954年11月、現代社から刊行された堀川喜八郎(1922~2011)の第1詩集。著者は熊本県鹿本郡鹿北村生まれ、1947年ビルマから復員。刊行時の職業は九州電気通信局宣伝課勤務。
現代詩は難解である。とはよく聞くことばです。私はこの二・三年、そうした発言にたいして、強く抵抗を感じて詩を書いてきました。もちろん、詩人の立場からは、現代詩は決して難解ではない、といえるかもしれませんが、私自身にはその詩人としてのポーズがなんとも、鼻もちならないのです。
ここに一九五一年から五四年三月にいたる、三年間の作品のなかから廿篇を選び、第一詩集を発刊するにあたって痛感したこと。それは既得のテクニックをふりすてることが、いかに困難であるかということでした。
私は私なりに、平易な日用の話しことばをとり入れたり、観念の世界から脱却するために「足で書く詩」を試みるなど、一作ごとに実験を積み重ねてきたつもりですが、実験はどうやら実験に終ったようで、私はいま、ずっと見守ってきた自分の姿を、都会の雑踏のなかでついに、見失ったような気持でいます。
(「あとがき」より)
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あとがき
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