1997年8月、七月堂から刊行された瀬沼孝彰(1954~1996)の第4詩集。
この詩集は瀬沼孝彰の第四詩集である。彼はすでに、三冊の詩集を出している。第一詩集は『小田さんの家』、一九八八年一〇月、七月堂刊、第二詩集の「ナイト・ハイキング』はそれから、四年後の一九九二年一〇月、ミッドナイト・プレス刊、そして、第三詩集、『凍えた耳』は、昨年、一九九六年六月、ふらんす堂刊である。この詩集はそれに続く、彼の第四詩集であり、かれの意図した最後の詩集である。
と、いうのは瀬沼さんが交通事故で亡くなってしまったからである。昨年の八月一八王子の彼の自宅近くの甲州街道を自転車で横断中、ほぼ、渡りきったかと思われたところで、グリルガード付きの四輪駆動のRV車にはねられ、そのまま、ほぼ即死に近い状態となり、運び込まれた、八王子の医療施設のICUで、二八日の午前二時半過ぎ、息をひきとった。
事故現場は京王八王子駅から横の道をぬけて甲州街道につきあたったところで、その付近の街道一帯が街路樹とその下に造られた花壇のブロックで、横断歩道以外は向こう側に渡れなくなっていたのに、そこだけが向かいに南多摩高校の正門があるため、ブロックが途切れ、車が見えないとき、自転車はそこを渡っていた。瀬沼さんもたぶん、自宅へ帰るとき、いままでに、何百回となく、そこを渡っていたと思う。
(「『夢の家』の刊行にあたって 倉尾勉」より)
目次
Ⅰ 不帰郷
- 不帰郷
- 祈願
- 鬼面
- 夢の家
- 月の川
- 川のひと
- 川のうた
- 春のうた
- おくりもの
- 波動の寺
- 山のひと
- 木の少年
- 日の川
Ⅱ 裸のこころ
- 鬼の戦車
- 橋の女
- 木の少年
- 夜のくつ
- 裸のこころ
- 風の子供
- ゲームセンターの空から
- 手作りの椅子
Ⅲ 東京・コーリング
Ⅳ ガレージ・ランド
- ミッドナイト・レイヴァース
- バビロン稼業
- ガレージ・ランド
- アルカディア
- 焚火
- 小田さんの庭
- わたしの東京タワー
- うめのはな
- 森の郵便局
編集後記
井上浩治
梅田智江
倉尾勉
付 著者作画「夢の家」
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解説