1983年9月、私家版として刊行された小長谷静夫(1933~1990)の第4詩集。装画は柴田俊。
いつもそうだが、この詩集は特に敗戦処理の気持ちが濃い。詩に対して不熱心だったのか、ことほどさように、心弱い日が続いたのだろうかとも思う。
タイトルは、サローヤンの小説「人生の午後のある日」が頭にあった。冒頭の――(ハイ・ヌーン)再び――ともからみあう。
せめてもの慰めは、柴田俊氏(水彩画連盟委員)の装画が頂けたことだが、このロバとわけのわからない人物にしても、私が勝手に選んだもので、氏の本意にそったものかどうか分からない。私自身は大変気に入っている。ロバは意固地なほど頑固な動物だし、乗っている人物も楽天的そうにも、いささかグルーミイにもみえる。多分、私と同じB型血液だろう。
「キャップを勝手に朱くぬっちゃうよ」
「ウン、いいよ」
こうして、表紙の絵がきまったわけだ。心広い氏に、あらためて感謝したい。
いつかサッソウとした「人生の午後のある日」を書いてみたい。そのための敗戦処理だ、と思えば、私の気持ちも休まるというものだ。そのこともあって、今回は百鬼界の宮園洋さんの手を煩わすまでもないと思った。
(「あとがき」より)
目次
- (ハイ・ヌーン)再び
- サンライズ
- 結婚記念日の夕べのこと
- スクラッチング・ボードのある部屋
- 日びの水分について
- キウイという鳥
- 羊たちの朝に
- 絵はがきを頂いて
- 途中の二尾
- ジョギング
- カレンダー
- 夜明け
- たかをくくろうか
- アマダイの料理法
- 種子を蒔いて
- その他の魚
- めし屋の二月
- 睡るまえに
あとがき