1963年12月、昭森社から刊行された滝口雅(1918~2002)子の第3詩集。装画は三岸節子。著者は朝鮮・京城生まれ、刊行時の職業は国会図書館司書。
これは私の第三詩集である。この詩集はもっと早く出すつもりであったが、準備の途中で室生犀星氏が亡くなられたため詩集出版を急ぐ気持がなくなった。予定より一年以上おくれた。はじめの詩(秋の接吻)は、堀多恵子夫人の案内で浅間山へ通じる追分の小道を歩いたとき思い浮んだものである。それぞれの詩に誰かが介在している。詩集にまとめながら、ひとつひとつの詩の生い立ちを思い出すのはたのしい。詩(窓ひらく)は放送詩集としてNHKから放送され、演出に真家ユリ子氏があたった。昭森社森谷さんのおかげで三岸節子氏の装画と題字を頂くことが出来た。室生犀星氏がいられたらにこりとして(君も大したものだ)と云われるだろうと思う。この詩集もひとに愛されることを著者は願う。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 秋の接吻
- 夏の日の恋
- レディ・キラア
- 科学者
- カスバ
- 口笛
- 彼と労仂者
- 未来のまなざし
- 恐怖
- あやめ草
- その日
- 憧憬
- わたしの目は
- 凍る
- ギリシヤの夢
- 詩について
Ⅱ
- 窓ひらく
あとがき