1957年10月、国文社から刊行された長沢永一郎の第1詩集。装幀は蛭間重夫。刊行時の著者の住所は埼玉県入間郡武蔵町。
私が信州の山歩きを始めたのは一九五一年頃であった。それまで私はこれほど山に縁の深い人間になるとは考えたためしがなかった。ところがふとした思いつきで山に出かけたのが契機となり、それ以来私は格別に山を愛好するようになった。さらには山を人間形成の良き場とさえ考えるようになった。そしてこの考えは今も少しも変っていない。
山を讃える心、それは人間のもつ最も美しい感情であろう、いな至善の美徳でさえあるだろう。
ここに集録した作品は、主として信濃路の山旅からつくり得たものが大部を占めている。山と云えば、何も信州に限った訳ではないが、どうしたはずみか私はもっぱら信州好みになってしまった。
「何故山に登るのか」
よく訊かれる言葉であるが、その答えは、山を訪れることによってのみ体得されると云えるのではなかろうか。
私の山歩きは今後も続けられる。訪れた旅先で、それぞれの山の風格をじっくりと味わいたい。そうした過程の中から、私は私なりに、人間のことや登山の意味を学びとりたいと思っている。
(「あとがき」より)
目次
- 山旅の思い出
- ブナの林
- 湖畔素描
- 牡牛
- 奥秩父
- スキーの歌
- 早春の高尾にて
- 春山に想う
- 雲取尾根
- 冬山へ
- 秋の色
- 旅先にて
- 山小屋
- 雲と草原
- アルペンフローラ
- 霧ヶ峯にて
- 翠科山
- 信濃の山路
- 山に来て
- 白馬岳にて
- 六月の山
- 山への断片一
- 山への断片二
あとがき
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