1979年11月、未踏社から刊行された有馬敲(1931~)の座談集。表紙写真は甲斐扶佐義。
ここではおもに一九七〇年代におけるインタビュー、対談、鼎談、座談、アンケートなどを収録することになった。
この時代はわたしにとっては「戦後詩」「現代詩」という地点から離陸し、関西フォークソング運動や自作詩朗読運動を体験して、新たな詩歌の世界へ軟着陸しようとした時期であった。その途上で出会った人たちと語り、話しあいながら考え、考えながら論じあったことは貴重であり、思い出も少なくない。そういえば、話したことばがその時や場所によって、ことなって記録されている場合、――たとえば、ことばが言葉となったり、プレヴェールがプレベールになったりしている場合があるが、話し相手、その時、その場所などのニュアンスを尊重して、記録にほとんど手を加えずに、わざとそのまま収めることにした。
いずれにせよ、本書は京都という古い街の片隅に生きた者のささやかな記録であるが、他者とのぶつかり合いのなかで、なにかを見出していただければ幸いである。その当時の状況を裏づけるために、巻末にあえて年表を付けくわえて参考とした。
(「あとがき」より)
目次
第一部
- 夜話・京都戦後詩私史 上村多恵子・正木美津子
第二部
- うたとことば 岩井宏・片桐ユズル・高梨美津子・中山容・西尾志真子
- 詩・朗読・フォークソング 支路遺耕治•中山容
- フォークソング運動の課題 岡林信康・片桐ユズル・高田渡・中山容
- 忘れられない詩人たち 犬塚昭夫・福中都生子
- 歌にいたる詩 谷川俊太郎
- 詩とうたと 犬塚昭夫・小野十三郎・片桐ユズル・福中都生子
- 方言・ひらがな・生活 東渕修
- 自作詩朗読のことなど 「詩と思想」・「off off tokyo!」・「像」
付
年表‧戰後詩史京都 (一九四五~一九七八
あとがき