1996年11月、土曜美術出版販売から刊行された岡崎純(1930~2017)の第5詩集。装幀は斎藤綾。第30回日本詩人クラブ賞受賞作品。著者は福井県南条郡生まれ、刊行時の住所は敦賀市。
このたびの詩集「寂光」は、「極楽石」(一九七七年刊)以来の新詩集である。実に十九年ぶりということになる。この間に書きとめてきたものの中から選んで一冊とした。
私の詩の根は、やはり私が生まれ育った北陸の風土にあると思っている。もっと限っていえば福井の風土である。血縁、地縁の人たちの生死によって、この風土は、色濃く培われてきた。
「土」のことを私たちは、方言で「べと」といっている。この「土」を甲羅として、祈りや願望を秘めて生きた人たちの生涯から、いのちの深みが見えてくる。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- ことばがまだ少なかったころ
- 礫
- 小さないのち
- みそ汁
- いのちを水に
- 産む
- 蜘蛛
- 蟻
- 小さな蟻
- 蛍
- こともあろうに
- 小さな土
- 輪廻
- 踏み出す
- 小さな席
Ⅱ
- 藁灰
- 穀雨
- 咲く
- 種子
- 石地蔵
- 桔梗
- 半眼微笑
- 油かけ地蔵
- 落ち葉
- 冬の炎
- うら
- 三郎柿
- 白鷺
- 藁火
- 啼く
- 三合流れれば
- 川の相
Ⅲ
- 湯上がりのように
- 寂光
- 逆水
- 夕食
- 杖
- 灯
- 訃報
- 小さな喪主
- 草履
- 火種
- 陽だまり
- 捜せるものなら
- 回帰
- 陰翳
- 後戻り
- はかない話
- 洗濯
- みよし
あとがき