1955年8月、山河出版社から刊行された浜田知章(1920~2008)の第1詩集。著者は石川県生まれ。
こうしてまとめてみると、不満が出てきて古い傷口をなでられるような感じもした。目に余るものは取り去ることにした。初期詩篇のいくつかは、ぼくの詩的出発のモニュメンタルなものとして集録することにした。戦争という異常な体験がどの作品にもみられるが、ぼくの骨格はこの一時期に形成されたのだし、これからの仕事の上にこの断絶は明確な行動となって現われていくと思っている。
部数も多くないこの詩集が、各研究会やサークルでこっぴどく批判され、ボロボロになって人から人へわたっていくことを願っている。
また、卒然と逝いた僚友湯口三郎と、ぼくのよき理解者であった亡弟健二にこの一本をささげるものだ。跋文をかいてくれた長谷川竜生、関根弘、井上俊夫、牧羊子、外「山河」の仲間たちに心からの挨拶を送る。
(「あとがき」より)
目次
・クルク、ダリア
- クルク、ダリア
- 袋小路から
- 大水平線
- 兵器廠跡
- 干潟にて
- 片道切符
- パースペクチヴ
- 陸の現実
- 太陽を射たもの
- 天蛾(スフインクス)
- 発見
- 投縄
- 荒野から
- 小さな城
- 黒の領域
- リマン海流
- 大海渠の歌
・奴隷基地
- 一九五三年内灘
- 防砂林のある丘にて
- 合言葉
- 京城(ソウル)の雨
- 奴隷基地
- 黒い螢
- 内灘、その内ふかく
- 閉された海
- 見えない場所
- 汚された海のほとり
- 基地の霧二題
- 俄か町(ブームタウン)の女たち
- 霧を払う
・Death・城・群集
- 大煙突のうた
- 解剖室にて
- アメリカ熱風(シムーン)
- 終末の気象に抗して
- 真珠の話
- 朝
- 湿れる松明のごとく
- 胸廓造形
- Death・城・群集
- 波打際にある火力発電所にて
- 凝結した都市
- 恐怖の誕生日(バースデイ)カード
・洪水以後 (初期詩篇)
- 河
- 洪水以後
- 雅歌
- 童話(メルヘン)
- 水の生理について
- 耽視
- 途絶えない水の歌
- ロード・バック
- 直島の蟻
- 夜の歌
- 牙歯
- 生れた土地