1996年、ふらんす堂から発行された瀬沼孝彰(1954~1996)の第三詩集。
ぼくらは日々、自分たちの生活の向こう側にあるマイナスの極を遮断されて生きている。ものの腐敗する形や匂いを遠避けられたままだ。しかし、人は光の中でのみ生きる訳ではない。闇が精神の深い安堵をもたらすことを忘れてはならないだろう。瀬沼さんの詩を読んでいくと、静かな安らぎが胸深くわきあがってくる。石の街のどこかを確かに流れている野性の水の音のように。
(帯文/八木幹夫)
目次
A
ホタル
朝の瞳
青空
トガリハナバチ
ぬかるみ
おはよう
ビルのうた
コンクリートの日々
犬のうた
B
ハエ
ドラッグ ロック シティ
ピョコンのおじさん
マネー
無力のかけら
ボーン・トゥ・ルーズ
水音
C
夜の風鈴
大西まいり
ゴースト
ジェノサイドの街
D
虫を見に行く
カチューシャ
ステップ
こうみいし