1975年7月、イザラ書房から刊行された菅谷規矩雄(1936~1989)の第5評論集。
一九六〇年代に書いた詩論を中心に、その前後の時期の文章を二、三あわせる形になった。さいごに収めた《時祷書とリルケの地下の世界》は、一九五八年の秋に卒論のためにつくったノートをもとに、翌年になってあらためて書きなおしたものである。その後一、二年のあいだにもわずかながら手を加えた。わたしの最初の詩論ともいうべきものであり、またリルケについて書くことは今後もないかもしれないので、気はずしさをおさえてあえて発表することにした。文中に註記した以外は、引用はすべて当時じぶんで訳した。まちがいがあるかもしれないが、もとのままにしておく。(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 鮎川信夫――(ⅰ)未知の詩の中に
- (ⅱ)〈荒地〉論ののちに
- (ⅲ)ふたつの知識人論
- (ⅳ)鮎川信夫全詩集
- 吉本隆明――(ⅰ)詩・文学・言語
- (ⅱ)言語にとって美とはなにか・第Ⅰ巻
- (ⅲ)戦後と幻想
- (ⅳ)自立の思想的拠点
- 戦後派文学と戦後文学論
- パノラマ世界の内と外
- 堀川正美論
- 葬送的序言
- 大滝安吉の詩と生涯
- 吉野弘論―詩的パッションの展開
- 詩の逸楽・詩の苦痛
- 詩的情況論序章
Ⅱ
- 飢えと美と――黒田喜夫の三つの主題
Ⅲ
- ミレナへの手紙
- 地中海――半世界的
- 時祷書とリルケの地下の世界
あとがき