1966年12月、思潮社から刊行された片岡文雄(1933~2014)の第4詩集。
ここに「地の表情」としてまとめた一本は、前集「眼の叫び」に続く、わたしの第四詩集をなすものである。
四たび詩集のたぐいをおおやけにする気持は、だめな生涯があるいはだめではないかも知れないとう、行きをひそめるひとときにたとえられる。一つの幻影におもわれる生涯を、つき破ろうと努めるとき、炎がわたしをつらぬく。わたしはいのちをまつとうしているか、わたしは死を超えられるか、わたしは名づけるものとなり得たか。これらの問いは、はやくからわたしをとらえていたものであるが、この歳月はそのことを執拗に問うた期間であつた。
ささやかな三十の姿にかたどられた生涯が、わたしをおいて、さらにおなじ影を人々にも落すことを、夢想するものではない。ぎくしやくとした歩み、手さぐりのなかで、いのちの中心たらんとしたそのことによつて、わたしはひとびとにつながりたいとおもう。
(「覚書」より)
目次
- 西にむかって
- 念誦
- 聖誕曲・外は死でいつぱいだ
- 象
- 夜
- 地上
- スリコンボの頃
- 愛
- いつぽんの木
- 日常
- 独立
- 手による習作
- 顔
- 背中
- 詩との出会い
- 騾馬ラウリーノ
- ゴキブリの頃
- ユーゴスラビアの版画家たち
- 四月のうた
- 樹木
- 冬
- 山鬼
- 汽車を見送る
- 出迎え
- 股
- 碗
- 鬼
- さくらの頃
- 秋
- 穴
覚書