2001年10月、筑摩書房から刊行された谷川俊太郎(1931~)の詩集。装幀は平野甲賀(1938~)、組版は木下弥。
「詩ってなんですか?」という質問をよく受けます、子どもからも、大人からも。いつも私は困ってしまいます。詩とは何かという問いには、詩そのもので答えるしかないと思うからです。けれど詩の世界は深く豊かで限りなく多様です。詩は一篇の作品に感動する心のうちに生まれるものですが、その一篇の作品は孤立して存在しているわけではありません。日本語にも他の言語と同じく、読まれ、書かれてきた長い詩歌の伝統があります。その全体を知ることで、私たちはもっとよく、詩というこのとらえ難いものに近づくことが出来るでしょう。
この本は、現行のいくつかの小学校国語教科書を読んで感じた私の危機感から出発しています。教科書には私の作も含めて多くの詩が収録されているのですが、その扱い方がばらばらで、日本の詩歌の時間的、空間的なひろがりを子どもたちにどう教えていけばいいかという方法論が見あたらないのです。現場の先生がたもまた、そういう大きな視点をもてない悩みをかかえているようでした。
私は一介の実作者にすぎませんが、長いあいだ詩にかかわってきた経験を通して、自分なりのおおざっぱな詩の見取り図を書けるのではないかと思いました。ですからこれはいわゆるアンソロジーとはちょっと違います。私は自分の考え方の道筋にそって詩を集め、選び、配列し、詩とは何かを考えるおおもとのところをとらえたいと願ったのです。(「あとがき」より)
目次
- わらべうた
- もじがなくても
- いろはうた
- いろはかるた
- ことわざ
- なぞなぞ
- したもじり
- あいうえお
- おとまねことばの詩
- おとのあそびの詩
- しりとり
- いみのあそびの詩
- アクロスティック
- はいく
- たんか
- さんびか
- ほんやく詩
- あたらしい詩
- ふしがついた詩
- つみあげうた
- きもちの詩
- いろんな詩をよんでみよう
- ほうげんの詩
- 詩ってなんだろう
あとがき