1999年8月、ワニ・プロダクションから刊行された愛敬浩一(1952~)の第3詩集。著者は群馬県生まれ、刊行時の住所は伊勢崎市。
病中詠歌は、日本詩歌の伝統の一つである。数年前、まちがいなく私は二週間ほどの入院を経験した。残念ながら生死をさまようような病気ではなかったが、そのことを人から軽く扱われることには抵抗を感じる。いやいや、実際のところ、私の〈詩〉は瀕死の重症なのだ。ちょっと調べてみたら、一九九三年という年に、私は一篇の詩も書かなかったようなのである。詩誌『イエローブック」の曖昧な終刊のあと、それでも年に、二、三篇ぐらいは発表していたつもりだったが、改めて驚いた。その意味では、これらの詩篇は十二分にリアリズムなのである。
(「あとがき」より)
目次
- 沼
- 冷房の中の雨
- 海水浴
- 朝の水
- 入院日誌
- 最後の入浴
- 夏花
- 石の人
- 検査から戻って
- 出来事
- ミソハギ
- 午後
- 一行だけ抱いてよ
- 記録
- 終わる日
- わたつみ
- 乾草
- 一日の終わりに
- 風花
- 語る
- 波止場にて
- 夕暮れになってね
- 水草のように
あとがき