1974年5月、三一書房から刊行された菅谷規矩雄(1936~1989)の第4評論集。
さきの評論集《無言の現在》におさめた、《埴谷雄高論――ロマネスクの反語》のあと、その続篇の試み――すなわちわたしの企図した〈詩の原理あるいは埴谷雄高論〉の展開は、さまざまな理由から、困難に当面した。その間の模索の一端が《あんかるわ》誌における連載――〈国家――自然〉であり、そしてそれとかさなりあう本書である。したがって本書は、なお埴谷雄高の全像をえがき おえたものでは決してなく、むしろきわめて基礎的かつ原理的な序論というべき性質のものであることを、ひとことつけくわえておきたい。とりわけⅡの章では、埴谷雄高の文学理論を眼前の対象としながらも、どうしてもひとつの迂路をたどってみることがひつようであった。
(「あとがき」より)
目次
序章
第1章
- 詩・《不合理ゆえに吾信ず》
- 1自同律の諸相
- 2発語
- 3論理――構成
第Ⅱ章
- 政治思想
- 1国家幻想――昭和十年代への考察
- 2亡命と銃撃
- 3戦後政治思想論(一)
- 4戦後政治思想論(二)
第Ⅲ章
- 夢をめぐるディアローグ
第Ⅳ章
- 小説
- 1《意識》
- 2《死霊》および《深淵》
あとがき