2000年4月、思潮社から刊行された近藤洋太(1949~)の詩集。
『水縄譚其弐』に収めた作品は、この六年ほどの間に書いた。これらの作品は「歴程」、「点」(廣田國臣氏主宰)、「読売新聞」に発表したが、いずれも改稿し、未発表作品を含めて再構成した。「唄三題」は「水縄」出身の作曲家、田村徹氏の依頼で作詞したもので、「水縄」在住の声楽家、中尾陸美氏によって歌われている。
本書を含め、この十年ほど故郷というトポスを主題とした作品を書いてきたが、これで終わりにしたい。もちろん故郷について語り尽くしたと思っているわけでも、故郷に赦されたと思っているわけでもない。『水縄譚其弐』を書くにあたって、参照、引用した文献について、ここでは明記しない。ただ、「水縄」市の市政百年を記念して刊行された『「水縄」市史』(全十三巻)は、私にさまざまなことを思い出させてくれたことを記しておきたい。また『「水縄」市史』編纂室の名前を存じあげない方々に、貴重な資料を閲覧させていただき、あわせていくつかのご教示をいただいた。感謝申し上げる。
「最後の青空」以下の五篇は、水縄をテーマとした作品群と並行した時期に書いた。これらの作品は、水縄を書くことに頑なになりがちであった私の心をはぐし、いくらかは解放してくれた。そうした愛着があって、ここに収録した。
(「後記」より)
目次
- 序
- 美潴心中
- 大洪水
- 暦をめくる女
- 蛍を売る少女
- 唄三題
- 美潴子捨唄
- 水縄手鞠唄
- 一夜川筏流唄
- 明善館高校天文部日誌抜粋
- 大勝席
- 水縄夢譚
- 離魂譚
- 最後の青空
- レインスティック
- コメルス・サンタンドレ小路
- ドリュ・ラ・ロシェルの墓
- 最初の足跡
後記