1966年9月、昭森社から刊行された水出みどりの第1詩集。装幀は和田徹三。
この詩集の作品のほとんどは昭和三十六年から四十年までの五年間に書いたもので、配列は製作の逆順になつております。数篇をのぞいて全部、「檸檬」に発表しました。
私が本当に詩を書きたいと思いはじめたのは、昭和三十四年の夏、成人学校の「詩の観賞と作り方」の講座を受けてからで、何とか今日まで続けてこられたのは、時に厳しくまた時にはやさしく御指導下さった和田徹三先生、そして得がたい友であるレモングループの仲間のおかげと思っております。
普段は何気なく見過してしまっている私の周囲や、また私の内部にあるものに対して、何かの拍子にふと、疑問符が打たれることがあります。その問いに答を出すことは出来なくとも、私なりに考えてゆこうとするその過程のなかで、私の詩は出来ることが多いようです。この五年間、何を考えて来たか、ひとつの足跡として詩集を出したいと思い、またそのことによって新しい出発をしたいと願っています。
この詩集を出すにあたり、いろいろ温かいはげましのお言葉を頂いた深尾須磨子先生、装幀を引き受けて下さった和田徹三先生に心から感謝致します。
(「あとがき」より)
目次
- 海鳴り
- あなたの瞳に
- あなたが ふと
- 冬の樹
- 興福寺仏頭
- 旗
- ふと呼ばれて
- 水族館
- 歳末のデパートで
- 早春のうた
- 卵
- 在るということ
- 雪の降りつむなかで
- 裸木
- 鳥
- 六月
- 問い
- 在る
- アルバム
- 旗
- 花
あとがき