1990年9月、雀社から刊行された福間健二(1949~2023)の詩集。写真は加藤健次。
この地上のできごとをかたちづくる要素からどれだけのことを吸収し、それをどれだけ言葉の中に変形させて吐き出せるかというところに力点をおいて、ほくは生きてしまっているだろう。作品をつくることは、生身の自分のなにかをすりへらしたりすることである以上に、この地上に確かな感触をもって生きるために、自分を支えるために、つまり自分が自分であるために必要な作業であり、それを苦しいとか楽しいとかは言ってられないと思うが、一方でほくにこういう熱中を許している環境的条件をふしぎなものに思う気持ちもふりきれない。深夜、なかなか休まってくれない頭で、だれにともなく「ありがとう、もうすこしだよ」と言っていることがある。でも、もうすこしたったらどうなるということが見えているわけではない。この『地上のぬくもり』はぼくの「いま」そのものであってほしい。作品の選択・配列に関して第一に考えたのはそのことだ。そしてすこし前に書かれたものには手を入れた。全体を「一九九〇年の作品」として提出したい意図からである。
(「あとがき」より)
目次
a
- すてきなおくりもの
- 寿命
- 善人
- キースとミックのように
- スタイルの工夫
- 犬を連れて
- 箱
- 事故
- レパートリー
- だれもが入れる部屋
b
- 牛
- 朝
- 臆病者
- 行ってきた
- ずれ
- 町
- ドア
- 夢の中の夢
- 故障
- いま
c
- ゲーム再開
- 夏の終わり
- 接近
- 惨劇
- 溝
- 家族
- 処理
- 疲労
- 観光
- 情欲
d
- 折り曲げられた「鳥たちの木」
e
- 最後の事件
- 彼女はなぜぼくが気にならない?
- スランプ
- 追われる男
- ルールの説明
- 推理する樹の下で
- 解釈
- 砂だらけの、ぐるぐる曲がった階段をおりて
- 生まれてやる
- 寒さの記憶
f
- 地上のぬくもり
あとがき
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