1986年4月、みもざ書房から刊行された井野口慧子(1944~2019)の第4詩集。カバー装画は松岡敏行。装幀は河野勝重。著者は広島県生まれ。
気づいてみると、私の三十代はあっという間に過ぎ去っていました。あまりにも激しい身辺の変化の中で、愛する者の重すぎる死を残したまま。そして同じほどに重い生も。
この十年間に、私自身の微かな足跡として「地球」「水声」に書いてきたものを中心に、五十篇を収めました。娘のことを直接書いた詩は、もうしばらく手元に置いておくつもりです。
<光の錐>という題名は、現在の私の詩作そのものにつながるイメージかと思っています。
この拙い詩集のために、大変貴重な時間をいただきました杉本春生先生、新川和江先生、出版に際し、何かと力添えいただいた河野勝重さんに、心よりお礼申し上げます。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 吹きガラス
- 粉雪
- あかい木の実
- 大根
- 赤い馬
- 沼
- 坂道
- 森
- 窓の内側窓の外側
- 織る
- 雨
- 繭の夜
- つくりたいのは
- スーニオン岬
- 時計草
- 光の錐
- あら皮
Ⅱ
Ⅲ
- 秋
- 踵から伸びた根の指が
- 落ちた果実
- 砂の月曜日へ
- 夏の朝に
- サクランボが熟す日
- 私の影の上を
- 時のゆり椅子に
- 虹
- 宴
- 白い花
- バナナジュース
- 行列
- 青空
あとがき