1961年10月、国文社から刊行された徐新民の第1詩集。装幀は池田龍雄。
一九五六年から、今年一九六一年上半期までの作品をあつめて、本にまとめてみました。五年くらいのあいだにかいたものとしては、決して多い量とはいえません。書いても、自らだつらくしていった作品も多かったわけです。これはぼくにとってはじめての本だから、やつと出発点にたった、という感じですが、その出発点にたつて、すでに、あんたんたる気分に、沈みがちです。
ぼくは、今日まで、ぼくに親しい詩人たち、友人たちに支えられながら、これらの作品を、ぼくたちのグループ誌、「カントリイ・ポエット」や、会の機関誌「私は愛する」に、書きつづけて来ましたが、その会、つまりぼくたちの(新しい意味での)詩サークル、位置の会の友人たちの存在は、とりわけこのぼくにとって、大きな意味をもつています。彼等がいなかったなら、今日までこういう風に、詩を書きつづけてくることが出来たか、どうか、と思うと、彼等に対して、感謝せずにはいられません。ただ、このことを書いておきたかつたのです。本をつくってくれた、国文社の方、松永伍一氏、池田竜雄氏に、そして、「勇気」をくだすった黒田喜夫氏に感謝します。
(「あとがき」より)
目次
- 裂けた…
- ぼくは愛する
- 夏まで
- 罠 A
- 罠 B
- 飢えの唄
Ⅱ
- Chanson小さい子
- 失踪
- シミン氏の伝説
- おしまいのセリフ
- 代金引き換えのブルース
Ⅲ
- キラキラ
- 転生
- 悪い女
- 八郎太郎物語
Ⅳ
- 恋唄
- 暮景
- 混血児
- 一九五七年序曲
解説 黒田喜夫
あとがき