苧環論 薦田愛詩集

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 1989年5月、書肆山田から刊行された薦田愛(1961~)の第1詩集。歴程新人賞受賞。


目次

  • 暮景その滲みがちな一枚の布銜えてしばしば狂乱の態する伏目がちな枝折戸袈裟掛けに斬りつける
  • いつと知れないぬばたまの訪い待ちわび顔を刷る
  • わたしたちのイノセントな「あお」にごらぬおぢぬシアンをかざして(いいのなら)あなたの不在を完結シタイ。おもいがとがって疵つくる
  • 眺望
  • 糸巻祭
  • なよたけすべらな爪沿い遣らずの傘さす保名の道ゆき夜もすがら桟敷をかけだす襟足その意気のとおさに折りから獣心よびさます
  • ひもろぎ
  • 山頂反転不思議(メビウス)の輪をもつ彼処の山鈍色にふかく折り畳まれたわたしの不機嫌恋慕する
  • 本郷二丁目壱岐坂上潮が鳴る
  • 彼処に事情ある仲春公園で午睡する犀見おろす男の名はセルゲイ・イワノヴィッチ
  • "Side-Side 1255"花けむる日ぐらしたたずむ敷石の、口ほどにもない脆さを馬車かけぬけ――
  • ついに訪わない「その日の暮れ」を待つかぎり一再ならずくぐもるいまわの声その呼ばわる名はプワゾン
  • "In Line Section 2107"たまさかくれない恋路のやみをしらずくぐもるわたしたちのいつもの目覚めする背もたれのない椅子のある部屋起きぬけにあけはなつ
  • 醒めがたたましいの浮遊する水間「わたし」とわたしの在り処定めがたいつたない絵のなかの、それと知られぬおくつきもつ「世界の終わり」に位置している
  • デジャ・ヴュ(Ⅰ)
  • あらかじめ相喰まれる立ち待ちの「審判」ゆきずりの記帳を強いるさだめて手ぶりうつけた末期の相方うつしみる
  • 重ねて嚥下する明け方の発信音。当座、理解におよばぬ見ずしらずの"RANDOM-CITY"に逃れる道筋思い出す

苧環論―私と言葉の出会い

 

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