1978年3月、七月堂から刊行された岡田哲也(1947~)の第1詩集。扉絵は青木繁の「海の幸(部分)」。
これは私の処女詩集である。収められた作品は、昭和四十五年から昭和五十二年迄の過半である。私の廿代は東京で三年、郷里で七年、ふたこと目には死を思い定めた青二才(こにせ)がいつのまにか二児の父となっていた十年であった。この十年、私はうまい生き方をしたとも、うまい詩をものしたとも思わぬが、ただ、何故自分のようなものが毎晩詩を書かねばならぬかという思いと、それ丈が「わが闘争」であるという思いは鞭のようにささやきのように、私に纏わりついて離れることはなかった。(「覚書」より)
目次
Ⅰ
- 出離
- 動物園某日
- いかなればいにしえかくも……
- ゆうべの唄
- 故郷に寄する反歌 霧しげき朝 奴卑のわたしはすでに一期 わが標は夢の地平に 霜月 マグマなすわが荒魂は
- たたいののち ひとは
- 水生夢死
- 魂霊に聞える
- 風土
- 風葬
- 風水
- 風雪
- 風月
- 秋の夜長
- 或る日の手紙
- 海よりの手紙
- 漁人(すなどり)の歌
- 岩爺(いわじ)の歌
- 日暮れて……
- 赤い夜の歌
- 夏の小守歌
- 青梅雨の歌
- 草木黄落の歌
Ⅱ
- 暮春遠離のうた
- 西北風を挽いて舞いおちる
- 麦秋
- 雨戸洩る月の光に
- ながめせしまに
Ⅲ
薩南人岡田哲也君――桶谷秀昭
覚書
附録栞 岡田哲也詩集 白南風によせて
彼は昔の彼ならず――佐々木幹郎
人言の経歴を持った犬――樋口覚