1984年2月、花神社から刊行された一色真理(1946~)の第5詩集。装画は宇佐美爽子(?~2012)。
一九八二年以降二年間の作品を集めました。『夢の燃えがら』に続く五冊目の作品集にあたります。
簡単に、本書の意図を自分なりに書いておきます。
第一に、全篇を通してアレゴリーの手法で書きたいと思いました。
第二に、『夢の燃えがら』でも試みた寓話のスタイルをかりて、『純粋病』以来のテーマである「自分とは何者か?」「なぜ書くのか?」という主題に肉迫してみたいと考えました。
第三に、書きながら少しずつ遊んでみました。知人・友人の固有名詞や昔実在した猫の名前、ある日の会話等をなにげなくおりこんだり、ラブロマッスのパロディを演じたり等。(「恋物語」は詩誌『ラーメール』の企画で垂水千賀子さんとの間で擬・相聞詩を取り交した時のもの。)
第四に、シンガーソングライターの谷山浩子さんやマンガ家の鈴木翁二さんらの世界との交流から得たものが随所に顔を出していることです。『真夜中の太陽』というタイトルも直接には谷山さんの作品から借りました。(そのほか「学校」と「燃えろ太陽」で各二行ずつを谷山さんに借りています)
第五に、さまざまな傾向を持つ作品を並べながら、全体として統一感のある世界をつくりだそうと試みたつもりです。たとえばビートルズのアルバム『アビイロード』のような。
最後に、これらの作品は「詩」というジャンルにこだわらずに書かれています。どうか、「詩」としてではなく「一色真理の作品」として読んでください。
さて、作者の意図はどの程度読者の皆さんにまで伝わったでしょうか?
(「あとがき」より)
目次
- 学校
- みみず
- 爪宇宙
- 真夜中の太陽
- 暗号解読手
- 燈台守
- 翼を持つ文字
- もぐら
- 緑色の原稿用紙
- 燃えろ太陽
- 鏡の中の私
- 真夜中に起きているひろこさんの買物メモ
- 猫の視力についてのひろこさんの考え方
- 幸せな親子
- ぼくの友達だった人形
- 恋物語
- ピアノ
- 四〇〇字詰の原稿用紙
- 夕日と詩人とえんぴつ
- 太陽がぼくに言う