果無 近藤洋太詩集

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 2013年10月、思潮社から刊行された近藤洋太(1949~)の第8詩集。装幀は佐々木陽介と山田裕里。カバー写真は目高長太郎「山岳の雨」(一九一八年)。

 

 ひとはある年齢になると、急に多くのひとの死に立ち会うことになる。私はこのことを還暦の前後から実感するようになった。私もまたいずれその列に連なることになるが、老いることや死ぬことについて、陰気なことでも不吉なことでもなく考え続けたいと思う。
 『果無』は、二〇一一年、一二年に私のなかを通り過ぎた、今は亡き人たちへの鎮魂のつもりで書いた。わが父母、先達、先輩、友人、知己だけでなく、アメリカ同時多発テロ東日本大震災でいのちを落とした未知の人たちも含まれている。
「冬晴のニューヨーク」、「RUE JACOB」、「白雪姫」は「スタンザ」に、「カミサマの馬鹿野郎」は「歴程」に、「アナキスト斉藤の死」は「現代詩手帖」に発表した。「おい岩間」は、インターネット上の私のオフィシャルサイト「空瓶通信」に発表した。亡くなった人の魂は四十九日間、この世に留まるという。その魂に私の言葉を届けたかった。紙媒体での発表では間に合わないと思ったので、ネットを利用した。その他の作品は未発表である。(「覚書」より)

 

目次

二〇一一年

  • 冬晴のニューヨーク
  • 玉置山にて
  • RUE JACOB
  • おい岩問
  • 双葉郡浪江町棚塩

二〇一二年

  • アナキスト斉藤の死
  • 五十回忌
  • カミサマの馬鹿野郎
  • 果無
  • 自雪姫


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