1980年4月、版木舎から刊行された榎並潤子の第1詩集。
ここに初めて、詩集のできたことを、嬉しく思います。
協力してくれた菅原克己さん、林信弘氏に熱く感謝します。
わたしの子供たちをつめこむ列車に、いつまでも乗るのをためらっていた最後の三篇は、「おかしな」二人の乗客(小説)の代わりです。
しかし又きっとお会いしましょう。
「日没」の裏に含まれているアレン・ギンズバーグの詩は次のようなものです。
日没 (諏訪優訳)
刑務所行きの囚人列車の中
僕の頭をとりまく世界
すべてが 煙と奇妙な鉄色にかすんだ世界
そして僕の心は
過去をさまよい 未来へと錆びついてゆき
太陽が
現世的な そして 原始的な
世界に沈むのを僕は見た
残された闇で僕の囚人列車を包み
反対側の世界で
日の出を待っている者のために 太陽が沈むのを僕は見た
目次
- 梅雨の男
- 白い鳥
- みみず
- なつ
- こんな石のような秋
- わたしのめるへん
- 馬
- 野生馬
- 酔いどれこじき
- 何で火のように狂って走るのがわるい
- 野生馬
- 日没
- 今日
- ながれる
- 空
- 赤い詩
- 北阿佐谷
- 子供の傷口
- 崖っぷち
あとがき