1985年10月、思潮社から刊行された米屋猛の第2詩集。
昭和五十四年十月、前詩集『家系』上梓後、六年の歳月がながれた。徒らに馬齢を重ねるうち、当時十六歳と十三歳だった二人の息子は、職を得て静岡、神奈川に巣立った。
小さくなった巣のなかにも、「出会い」と「別れ」がさまざまな相をみせるので、おろおろするばかりだ。本詩集は、未だに子ばなれできない生来の吃音者の、ようやくにして発し得た声にすぎない。
(「あとがき」より)
目次
- きみは見たか
- 棗
- 秋田市有楽町 好き
- 加藤タノさんの瞳
- 十月二十八日霊山 晴れ
- 冬日
- 海は遠い日の色でなく
- 別れ蚊
- ボロボロになるな
- 冬の蟹
- キヌブルイの里を憶う
- 水仙
- 三月の父親
- 相似
- 壊れた夢
- アルギン讃
- 五十歳 闇
- 冬鏡
- 骨
- 一八
- 如月がくる
- 能代を歩く
あとがき